三菱総合研究所がエネルギー自律化を提言 有事の化石燃料負担を約1兆円回避へ
株式会社三菱総合研究所(代表取締役 社長執行役員:籔田健二、以下MRI)は、国際情勢や資源・物流環境の変化を見据え、社会機能を維持するための「エネルギー自律化」に関する提言を発表した。需要と供給の優先順位を柔軟に組み替える考え方を提示し、その実現に向けた三つの制度転換を求めている。短中期で有望技術を組み合わせることにより、有事における化石燃料費の追加負担を約1兆円回避できると試算した。
外部依存を抑え需給を柔軟に切り替えるエネルギー自律化
2026年2月末以降の中東情勢悪化により、日本のエネルギー供給は価格上昇だけでなく、調達、海上輸送、国内精製・流通にわたる複合的な制約に直面した。備蓄や調達先の多角化は短期的な供給途絶には有効であるものの、危機が長期化すれば価格高騰や物流・供給制約、長期契約や設備投資判断の遅れが重なり、社会全体への負担増を抑えきれなくなる。
これに対しMRIは、外部環境が変化してもエネルギーの需要・供給とその優先順位を柔軟に組み替え、社会機能を維持するための選択肢を平時から確保する「エネルギー自律化」の方策を提言した。これはすべてのエネルギーを国内で賄う自給自足ではなく、外部依存を一定程度抑えつつ、危機時に需給を自ら調整・切り替えられる能力を高める考え方である。
2035年度の有事で化石燃料の追加負担を約1兆円回避

効果の検証では、2035年度を想定し、現行政策・既定計画に沿った成り行きであるBAU(Business as Usual)シナリオに追加対策を上乗せした「自律シナリオ」を設定した。エネルギー需給分析モデル(MRI-TIMES)を用い、一定の燃料価格高騰が1年間継続する有事を想定して両シナリオを比較している。
分析対象となった以下の5分野において、化石燃料費の追加負担を回避する効果は合計で約1兆円となった。
- 再生可能エネルギー
- 原子力
- 石炭火力
- 自動車
- 資源循環

MRIは、単一技術ではなく複数の対策を組み合わせることが大きな負担回避につながると分析している。
実現を支える三つの制度転換と今後の展開
エネルギー需給構造そのものを危機に強い形へ転換するため、MRIは制度面から支える柱として以下の三つの制度転換を提言している。
- 危機時価値の評価
- 供給機能を確保する契約・制度
- 地域単位での資源活用
中東情勢の不安定化を踏まえ、日本にはエネルギーの海外依存に伴うリスクを抑え、自律化を進めることが求められている。MRIは今後、エネルギー安全保障を脱炭素、産業競争力、地域振興と一体で捉える政策・事業設計に向け、研究・提言を深めるとしている。
本記事は株式会社三菱総合研究所の発表をもとに作成。
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