脊髄損傷者の高齢期への備え、約6割が未着手 J-Workoutが調査結果発表
日本初の脊髄損傷者専門トレーニング施設を運営するJ-Workout株式会社は、9月5日の国際脊髄損傷の日に合わせ、当事者の高齢期への備えに関する実態調査の結果を発表した。当事者や家族を対象とした調査では、高齢期への備えについて約6割が「具体的な行動はしていない」と回答した。介助者の高齢化や、障害福祉から介護保険への切り替えに伴う制度の複雑さに対する不安などが浮き彫りとなっている。
備えを行動に移せていない当事者が6割超
調査によると、65歳以降の高齢期への備えについて「なんとなく考えたことはあるが、具体的な行動はしていない」と答えた人が51名(60.7%)と最多を占めた。実際に備えに踏み出している人は26名(31.0%)だった。
行動していない理由としては「何から始めてよいかわからない」「まだ自分ごととして考えられない」が同程度に多く挙げられている。一方で、備えを行っている人の内容としては介護保険や障害福祉サービスの情報収集および利用が最も多く、相談窓口を決めている人もみられた。ただし、住まいや介護体制、資金面まで具体化できている人は少数にとどまった。
制度の複雑さや介助者の高齢化に直面
総務省統計局の推計では2025年時点で65歳以上の人口は3,619万人にのぼり、内閣府の令和7年版障害者白書(2022年厚生労働省調査)によると在宅の身体障害者手帳所持者の71.2%にあたる約296.2万人が65歳以上となっている。脊髄損傷者においても若い頃に受傷した人が高齢期を迎えるケースが増えており、介護保険優先の原則など制度の壁に直面する状況がある。
自由記述欄では、回答者84名のうち49名から意見が寄せられた。「介助する両親が高齢化しており将来に不安がある」「障害と高齢になったときの制度のすみ分けが複雑で分からない」「現状を維持するために運動を継続することが大切」といった、介助体制や身体機能の維持、制度理解に関する声が挙がっている。

早期の備えと身体機能維持の重要性を強調
J-Workout代表取締役社長の伊佐拓哲氏は、若い頃に受傷した当事者が高齢期を迎える時代において、住環境や支援体制を早期から考えておく備えの必要性を指摘している。また、身体の衰えを防ぐ運動の継続が高齢期の自立を守るセーフティネットになるとし、専門家を招いた勉強会や当事者同士の交流会などを通じて高齢期を迎える当事者を支えていきたいとしている。
調査概要
- 調査目的:脊髄損傷者の高齢化が進む中での備えの実情と老後への思いの把握
- 調査対象:脊髄損傷者当事者およびその家族(J-Workoutの新旧会員)
- 調査期間:2026年6月
- 調査方法:Googleフォームを利用したインターネット調査
- 有効回答数:84名
本記事はJ-Workout株式会社の発表および総務省統計局、内閣府の公表情報をもとに作成。
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