TOPIX100対象の人的資本開示調査、戦略と必要人材の一貫説明は7.3%
NTTデータグループのフォーティエンスコンサルティング株式会社は、TOPIX 100構成銘柄のうち2026年3月期決算の82社を対象とした調査レポート「TOPIX 100にみる人的資本経営の現在地」を発表しました。開示制度改正後初となる有価証券報告書を独自の4段階移行モデルと8つの判定基準で分析したところ、重点事業に必要な人材の理由や確保・育成方針まで一貫して説明していた企業は6社(7.3%)にとどまることが明らかになりました。
調査の背景と概要
2026年2月の開示制度改正により、2026年3月31日以後に終了する事業年度から、有価証券報告書において経営方針・経営戦略などと関連付けた人材戦略と、従業員の給与その他の給付の決定方針を具体的に記載することが求められています。2026年3月期決算の企業にとっては、今回の有価証券報告書が改正後初の開示となります。
今回の調査は、2025年10月31日時点のTOPIX 100構成銘柄のうち2026年3月期決算の82社(非3月決算の18社は対象外)を対象に実施されました。各社が2026年7月5日までに提出した有価証券報告書本文を対象資料とし、統合報告書やWebサイトなどの外部資料は判定対象外としています。生成AIによる一次判定後、判断が分かれやすい事例は人が確認し、30社分は原文と抜き取り照合を行いました。
4段階移行モデルによる分析結果
調査では、開示内容から確認できる到達段階を4つの段階(A〜D)に分類して集計しました。
- 段階A(人事施策の運用):企業固有の人事施策と基本的な人事指標の実績が記載されている(76社、92.7%)
- 段階B(経営戦略と人材要件の連動):重点事業に必要な人材と、その人材が必要となる理由、確保・育成方針が示されている(5社、6.1%)
- 段階C(人材要件を満たす人材戦略の策定):必要人材の人数または比率と、確保・育成施策の実施状況を示す進捗指標が記載されている(1社、1.2%)
- 段階D(人的資本情報に基づく経営判断):人的資本情報に基づく経営判断の実施と、特定の人的資本投資が事業成果につながる道筋が示されている(0社、0.0%)
上位段階への到達には下位段階の要件も必要であり、段階Dの2基準は段階Cに到達した1社のみを評価し、残る81社は未評価となっています。なお、本調査は開示内容の分析であり、企業の順位付けや人事機能全体の成熟度、企業間の優劣を評価するものではありません。記載がないことをもって取り組みが行われていないと判断するものではなく、段階Dが0社という結果も全社で経営判断への活用がないことを意味するものではないとしています。
主な調査結果と開示の課題
要件別の分析では、重点事業や成長領域の特定は51社(62.2%)、必要人材の特定は20社(24.4%)、両者を結ぶ理由の明記は11社(13.4%)で確認されました。これら3要件をすべて満たした企業は6社(7.3%)でした。
段階Aにとどまった76社には、担当領域やスキルが特定できない「汎用人材型」、全社員共通の資質が示される「全社員対象型」、必要性の理由が説明されない「宣言どまり型」といった開示パターンが見られました。また、必要人材の人数または比率を開示した8社のうち6社も、人材が経営戦略から導かれる説明が不足しており、段階Aにとどまりました。
フォーティエンスコンサルティングは分析結果を踏まえ、まずは重点事業を一つ選び、事業部門と人事部門で実現内容や必要な人材像、確保・育成方針を一続きで説明できるか確認することを提言しています。そのうえで目標と現状の差や進捗を把握し、投資の優先順位や事業計画の見直しの判断材料とすることが重要だとしています。
また、段階Cに到達した企業のように、経営戦略ごとに人事戦略、主な人事施策、進捗指標を一覧表で整理し関係性を明示することが、投資家と具体的に対話する土台になると解説しています。
レポート「TOPIX 100にみる人的資本経営の現在地」は2026年11月4日に公開され、全33ページで構成されています。
- 会社名:フォーティエンスコンサルティング株式会社(旧社名:株式会社クニエ)
- 本社:東京都千代田区
- 代表者:代表取締役社長:山口 重樹
- レポート掲載先:https://www.fortience.com/insight/research-report/2026102100/
- 企業情報URL:https://www.fortience.com
本記事はフォーティエンスコンサルティング株式会社の発表をもとに作成しました。
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