サントリーGICとチェコ研究所、ホップの乾燥耐性メカニズムを解明
サントリーグローバルイノベーションセンター株式会社とチェコのホップ研究所は、共同研究においてホップが持つ乾燥耐性のメカニズムを解明した。本研究の成果は、8月23日から28日まで京都で開催された国際会議「第32回 国際園芸学会議(IHC2026)」で発表された。
気候変動に伴う収量減に対応する新品種開発の背景
高品質なホップ産地として知られるチェコでは、近年、気候変動による少雨などの影響で土壌の乾燥が進み、ホップの収量減少が課題となっている。
サントリーグローバルイノベーションセンターは、高品質なホップの持続可能な栽培を目指し、2018年からチェコのホップ研究所と共同で乾燥耐性を持つホップの研究開発を進めてきた。乾燥耐性を有する育種素材を選抜し、高品質な品種と複数回交配させることで、2024年11月に乾燥耐性を持つ新品種を開発した。現在は、チェコ・ザーツ地方の約4.2ヘクタールの敷地で、品質や収量などを評価する試験栽培を実施している。
第3染色体上の候補遺伝子「HlMYB113」を同定
研究チームは、交配によって得られた分離集団を用いて、乾燥条件下での収量や植物体形質の表現型解析と、次世代シークエンサーによるゲノム解析を組み合わせ、乾燥耐性に関与する遺伝子領域を探索した。
解析の結果、乾燥耐性を付与する遺伝子領域が第3染色体上に存在することを突き止めた。さらに、その領域内に存在する候補遺伝子「HlMYB113」を同定した。乾燥耐性系統では特徴的な遺伝子配列の違いが確認され、この遺伝子を持つ個体は乾燥条件下で植物体の伸長性が有意に高いことが確認された。これにより、乾燥耐性を持つホップを遺伝子レベルで効率的に選抜することが可能になったとしている。
新品種開発の加速と他作物への応用に期待
今回のメカニズム解明により、生育環境の変化に対応した高品質なホップを安定生産できる新品種開発の加速が見込まれている。また、この成果はホップにとどまらず、多様な農作物の乾燥ストレス耐性研究や育種技術への応用につながる可能性があるという。
サントリーグローバルイノベーションセンターは、これまでにも2014年に世界で初めてホップのゲノム解読に成功したほか、2025年6月にはホップの性決定システムの解明を発表するなど、ホップに関する研究開発を継続して行っている。
本記事はサントリーグローバルイノベーションセンター株式会社の発表をもとに作成。
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