AIデータセンター電力インフラ市場、2034年に307億米ドルへ拡大予測
市場調査会社のStratistics Market Research Consulting Pvt Ltdは、AIデータセンターの電力インフラ市場に関する調査レポートを発表した。世界の同市場は2026年の133億米ドルから2034年には307億米ドルに達し、予測期間中に年平均成長率(CAGR)11.0%で成長すると予測されている。生成AIや高性能コンピューティング(HPC)の普及に伴い、データセンターにおける電力需要が急速に増加していることが背景にある。
市場拡大を牽引するAI需要とハイパースケール施設
生成AI、大規模言語モデル(LLM)、機械学習の普及に伴い、GPUを大量に搭載した高密度サーバーの導入が進んでいる。国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のデータセンターの電力消費量は2024年に約415TWhに達し、世界全体の電力消費量の約1.5%を占めた。さらに2030年には約945TWhへと倍増以上になると予測されている。
こうした計算負荷の増大に対応するため、高容量変圧器、無停電電源装置(UPS)、配電設備、バックアップ電源、電力監視システムへの投資が拡大している。また、大規模なハイパースケールデータセンターの新設や既存設備の改修に加え、リアルタイムで電力需要の変動を制御する高度な監視・管理技術の導入も市場成長を支えている。
最大シェアの配電システムと急成長するクラウド事業者
本調査において、コンポーネント別では電力配電システムが予測期間中に最大の市場シェアを占めると予測されている。高密度な計算環境において、サーバーラックや冷却設備へ適切に電力を分配する基盤設備として、配電設備の信頼性と拡張性が重視されているためである。
エンドユーザー別では、クラウドサービスプロバイダーが予測期間中に最も高い年平均成長率を示すと見込まれている。クラウドベースのAIアプリケーションや生成AIサービスの拡大に伴い、クラウド事業者が大容量配電設備やUPS、電力変換装置、オンサイト発電設備などへの投資を活発化させている。
北米が最大シェアを維持、アジア太平洋地域が最高成長率へ
地域別では、大手テクノロジー企業やAI開発企業が集積する北米が、予測期間中に最大の市場シェアを維持する見通しである。一方、デジタルトランスフォーメーションやAI投資が進む中国、日本、インド、韓国、シンガポールなどを抱えるアジア太平洋地域は、最も高いCAGRを記録すると予測されている。
日本市場においても、AI処理に対応する高密度サーバーの導入が進むことで、大容量UPS、高効率変圧器・配電設備、電力監視・制御システム、蓄電池・エネルギー貯蔵システム、オンサイト発電などの分野で事業機会が広がる可能性があるとしている。
設備投資や納期の課題と主要企業の競争環境
市場拡大が期待される一方で、高性能設備の導入や設置工事、保守に伴う多額の投資負担が課題となっている。さらに、世界的な需要増加により変圧器や発電設備などの納期が長期化した場合、建設計画や稼働開始時期に影響が生じる懸念も指摘されている。
世界の市場では、Vertiv、Schneider Electric、Eaton、ABB、GE Vernova、Siemens、nVent Electric、Delta Electronics、Caterpillar、Cummins、Legrand、三菱電機、Generac Power Systems、Powell Industries、Bloom Energy、Constellation Energy、Vistra Corp.、NextEra Energyなどの企業が競合している。
近年では協業や買収の動きも活発化しており、主な動向は以下の通りである。
- 2025年6月:EatonがCobham Ultra GroupからUltra PCS Limitedを15億5,000万米ドルで買収する契約を締結
- 2025年11月:Schneider Electricが売上高ベースで総額19億米ドル規模となる供給能力契約を発表
- 2025年11月:VertivとCaterpillarがデータセンター向けエネルギー最適化ソリューション開発に向けた戦略的協業を発表
本記事はStratistics Market Research Consulting Pvt Ltdの発表および国際エネルギー機関(IEA)の公表情報をもとに作成しています。
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