九大とジャパン・メディカル・カンパニー、全頭蓋3D模型の研究成果が国際誌に掲載
株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーは、2025年度の医療模型共同研究公募で採択した、九州大学大学院医学研究院 脳神経外科の吉本幸司教授、空閑太亮講師との共同研究成果が、2026年9月2日に国際学術誌『Neurosurgery Practice』に掲載されたことを発表しました。
研究には、医療模型KEZLEXの技術で頭蓋骨・脳・神経・血管などを一体に再現した全頭蓋3D模型である通称「博多モデル」が用いられました。患者個別の病変を組み込み、脳神経外科医8名による実習評価と、患者1名の模型と実際の術野との比較が報告されています。
全頭蓋3D模型「博多モデル」の開発と共同研究の歩み
模型開発の取り組みは、株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーの前身である大野興業時代に始まります。2009年、九州大学脳神経外科の佐々木富男先生が主催する第21回日本頭蓋底外科学会総会に向けて頭蓋底手術教育の企画を発表したことを起点に、九州大学、福岡大学、同社の三者による共同開発を経て全頭蓋3D模型「博多モデル」が誕生しました。2024年には両大学の合同ハンズオンでもKEZLEXが使用されています。
その後、解剖の再現にとどまらず、患者ごとに異なる病変や周囲の神経・血管を組み込む研究へと発展しました。同社は2025年度の医療模型共同研究公募で、空閑太亮講師の「脳神経外科手技教育と術前計画支援を目的とした実臨床腫瘍モデルの開発と評価」を採択し、2026年2月に共同研究の開始を公表しました。同社は研究資金と模型の提供、開発担当者白川によるモデル開発および患者個別腫瘍モデル製作の技術支援を担っています。
医師8名による実習評価と実際の術野との比較検証
今回の研究では、脳神経外科専攻医2名と専門医6名の計8名が模型を用いた実習に参加しました。前方経錐体法、複合経錐体法、経顆法などの到達経路に加え、前頭側頭開頭後の前床突起削除の練習が実施されました。実習後の5点満点による評価では、模型のリアリティが4.25点、実習中の安全性・扱いやすさが4.25点、解剖学的正確性が4.00点という平均値が示され、重要な構造の位置関係や到達経路を理解するために役立つとの評価が寄せられました。



また、鞍結節部髄膜腫という頭蓋底の腫瘍を有する患者1名のCT・MRIデータから、腫瘍の形状や付着部位、周囲の視神経や血管のずれをモデル内に再現しました。眉毛付近から到達するアプローチで模擬的な腫瘍摘出を行い、同じ症例の術中写真と比較したところ、腫瘍によって移動した視神経と内頸動脈などの血管との位置関係が実際の術野と良好に対応したと報告されています。なお、技能の向上や患者の治療成績への効果については今後の検証課題としています。
実践的な教育基盤としての活用と今後の展望

九州大学大学院医学研究院 脳神経外科の吉本幸司教授は、日常的な反復訓練とカダバー実習をつなぐ実践的な教育基盤になり得るとし、若手医師の育成と手術の安全性向上に貢献することへの期待を示しています。また、同研究院の空閑太亮講師は、習熟度や目的に応じたモデルへ発展させることで、世界の若手脳神経外科医の教育機会を広げたいと述べています。

実習で挙がった骨の硬さやドリリングの感覚、硬膜を切開する手応えなどの改善点は、材料選びや製作方法の課題として今後の改良に活かされます。また、患者個別モデルを充実させることで、症例を通じた学びを複数の医師が共有し、議論できる教材への発展を目指すとしています。

掲載論文および発表元について

掲載論文の概要は以下の通りです。

- 論文名:Educational Utility of a Full-Skull 3-Dimensional Model for Skull Base Surgery Training
- 著者:Daisuke Kuga, Koji Yoshimoto
- 掲載誌:Neurosurgery Practice(2026年)
- DOI:10.1227/neuprac.0000000000000283
※Neurosurgery Practiceは、Congress of Neurological Surgeons(CNS)の公式オープンアクセス誌です
株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーの概要は以下の通りです。
- 社名:株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー
- 設立:2018年5月
- 代表取締役:大野秀晃
- 事業内容:医療機器・医療雑品の開発・製造・販売
- URL:https://japanmedicalcompany.co.jp
本記事は株式会社ジャパン・メディカル・カンパニーの発表をもとに作成されています。
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