Dellows News

【新米の季節に無料公開】今年の稲刈りを、来年の手順書に。AIと共創した農家の記録を公開

農情人、稲作現場の記録から生成AIで写真入り手順書を作成する過程を公開

CATEGORY: テクノロジー

千葉県船橋市に本社を置く株式会社農情人(代表取締役:甲斐雄一郎)が運営する農家向けAI活用メディア「農業AI通信」は、広島県福山市の稲作現場における作業記録をもとにした記事を2026年10月20日に公開しました。現場で撮影した写真と音声メモを活用し、生成AIを使って来年の作業前に見返す「写真入りの手順書」へと整理した過程を紹介しています。あわせて、読者が自身の作業で試せる依頼文や、写真1枚から始める確認メモのひな形も無料で公開されています。

背景にある農業経営体の減少と現場の課題

農林水産省が公表した「2025年農林業センサス結果の概要(確定値)」によると、農業経営体数は令和7年2月1日現在で83万6千経営体となり、5年前と比べて22.3%減少しました。減少傾向が続くなかで、現場で培われてきた段取りや注意点を次の作業や担当者に伝わる形で残すことが課題となっています。

今回の現場では、田んぼの中央付近に残るぬかるみによってコンバインが前に進めなくなって稲が詰まる事態や、収穫後の乾燥機・籾摺り機まわりの管をつなぐ準備において部品の用途や接続先を確認しながら進める場面がありました。単に写真へ形を残すだけでは用途や接続先、確認事項までは伝わらないことから、作業中の写真と音声メモに確認した用途や注意点を添え、生成AIを用いて手順書に仕上げる取り組みが行われました。

写真と音声メモを活用した手順書作成の流れ

手順書の作成では、スマートフォンで撮影した写真と音声入力、汎用の生成AIであるChatGPT(記録用)とClaude(資料化用)が使われました。作業の合間に止まった場面や迷った部品を撮影して音声入力で送り、「確認した事実」「原因の仮説」「未確認」に分類して残しています。

写真だけでは接続先が分からない部品については人間による補足や仮説を添えて確認すべき点を記録し、工程・写真・確認欄を組み合わせた工程別の手順書と、工程順に写真や映像を並べた約5分の動画を制作しました。確認できていない操作や設定は「未確認」として残されており、次の作業前に現物や取扱説明書と照合し、作業後にも見直していくことが目指されています。

連載「お米づくりにAIは使える?」の締めくくり

今回の内容は、2026年9月から「農業AI通信」で展開されてきた連載「お米づくりにAIは使える?」(全5回)の締めくくりとして位置づけられています。収穫前の田んぼの写真をChatGPTに見せて収穫時期を見極めるところから始まり、天候の影響を受けた稲刈りの日取り選定など、AIの見立てを現場で検証してきた取り組みです。

公開された記事(第2部・前編および後編)は全文無料で閲覧でき、後編には他の作業にも置き換えて使用できる依頼文や確認メモのひな形が掲載されています。

  • 第1部・Vol.1:田んぼの写真をChatGPTに見せてみた! 〜広島県福山市のコシヒカリで試すAI活用〜(https://metagri-labo.com/ai-guide/fukuyama-rice-ai-vol1/)
  • 第1部・Vol.2:収穫に向けてChatGPTの見立てをどう使う? 〜2つの田んぼの写真から考える〜(https://metagri-labo.com/ai-guide/fukuyama-rice-ai-vol2/)
  • 第1部・Vol.3:稲刈りが長雨で延びた。〜天気情報をもとに「刈れる日」をAIと探す〜(https://metagri-labo.com/ai-guide/fukuyama-rice-ai-vol3/)
  • 第2部・前編:稲刈りでコンバインが止まった。写真と音声で、現場の記録をAIに残す(https://metagri-labo.com/ai-guide/fukuyama-rice-ai-vol4/)
  • 第2部・後編:もう来年は迷わない!写真とメモをAIで「農作業の手順書」にする方法(https://metagri-labo.com/ai-guide/fukuyama-rice-ai-vol5/)

現場経験の引き継ぎと今後の展開

今回の実践を通じ、生成AIは農作業そのものの判断を代替するのではなく、現場で経験したことを記録して活用しやすい形に整理する用途があることが示されました。今後は作成した手順書を翌年の作業で使用し、実際に役立った内容や不足していた情報を見直していく予定です。

株式会社農情人は、千葉県船橋市に拠点を置き、代表取締役を甲斐雄一郎が務める企業です。農業マーケティング支援や農業×新技術の企画・開発、AIコンサルティングなどを手掛けており、同社が運営する「農業AI通信」では引き続き農業現場に根ざした生成AIの活用事例を発信していく方針です。

本記事は株式会社農情人の発表および農林水産省「2025年農林業センサス結果の概要(確定値)」(令和8年3月31日公表)をもとに作成しました。

アクセスランキング

今日

1週間