Stripe調査、AI企業の不正決済試行率はスタートアップ全体の最大4.3倍に
プログラマブルな金融サービスを提供するStripeは、プラットフォーム上のデータ分析から、不正利用者が顧客ライフサイクルの各段階でAI企業を集中的に標的にしている実態を明らかにしました。サービス登録段階では、サブスク型のAI企業を狙った複数アカウントの不正利用の試みが6カ月間で40%増加したほか、決済段階ではAIスタートアップ企業が直面した不正決済試行率がスタートアップ企業全体平均の最大4.3倍に達しています。不正利用者は、計算資源の価値向上や転売のしやすさを背景に、盗難カードによる決済からアカウントの悪用へと手口を広げています。
過去1年間、Stripeを利用するスタートアップ企業全体の不正決済試行率はほぼ横ばいで推移したものの、AIスタートアップ企業は高い水準を記録しました。Stripeのデータによると、2025年第3四半期におけるAIスタートアップへの不正決済試行率は、スタートアップ全体の平均と比較して4.3倍に達しました。2026年第1四半期には、AI企業と不正対策ソリューションStripe Radarの双方が新たな不正利用パターンに対応したことで2.6倍まで低下したものの、不正利用者は複数アカウントや無料トライアルの不正利用といった別の手法へシフトしていることが判明しています。
AIスタートアップ企業が提供する計算資源は価値が高く、第三者へ転売しやすいことから標的になりやすい状況にあります。不正利用者は盗難カードを使ってAIのサブスクプランやトークンを購入し、そのアクセス権を二次流通市場やサービスが正式に提供されていない地域で転売しています。カード保有者が不正請求に気付いて異議申し立て(チャージバック)を行う頃には転売が完了しており、その被害額は事業者側が負担することになります。盗難カードが複数サービスで使い回されるため一企業での独自検知は困難ですが、Stripe Radarはネットワーク上の数十億件に及ぶ取引データを解析し、初めて使用されるカードであっても他社での履歴をもとに決済処理前に不正な取引を特定してブロックします。
AI企業では決済前の段階から不正リスクに直面するケースが増えており、アカウントを大量に作成して新規登録特典である無料トークンや無料トライアルを繰り返し不正利用する手口が広がっています。Stripeの機械学習モデルの解析によると、2026年1月から6月までの6カ月間で、AIサブスク企業全体における不正アカウント作成試行率が40%増加しました。

さらに不正試行率が最も高いAIサブスク企業群では、同期間中に試行率が154%増加し、中には600%以上の増加を記録したケースも見られました。攻撃対象として最も魅力的な企業が集中的に狙われており、決済の不正からアカウントの悪用へと手法が変化しています。これに対しStripe Radarでは、ユーザー登録やログイン時のリスク評価を通じて、同一人物が複数アカウントを作成する「マルチアカウントシグナル」や、単一アカウントが複数の場所から同時に利用されている「アカウント共有シグナル」の主に2つのパターンを検知し、早期段階での対応を行っています。
ビジネス向けAIアプリ開発サービスHerculesの創業者兼CEOであるブレンダン・フォーク (Brendan Falk) 氏は、セルフサーブ型AIプロダクトを手がける創業者の間で不正利用は共通の悩みになっているとし、Stripeにより不正行為をブロックできていると述べています。
Stripeの概要と実績
Stripeは、数百万の事業者と数十億件の取引データを処理する基盤を活用し、高精度な不正検知や自動ブロックを行っています。AI音声プラットフォームを提供するElevenLabsでは、Stripe Radarの導入により2カ月間で1日あたり2,000件の悪用アカウントのブロックに成功しました。
Stripeの企業概要は以下の通りです。
- 本社所在地:サンフランシスコ、ダブリン
- 事業内容:プログラマブルな金融サービスの構築(オンラインおよび対面での決済、組込型金融、収益モデルのカスタマイズの推進など)
- 取引実績:世界のGDPの1.6%に相当する年間1.9兆ドル(約300兆円)以上の決済を処理
- 公式URL:https://stripe.com/jp
本記事はStripeの発表をもとに作成されています。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



