スペクトラム社、59xxシリーズ向け加算平均ファームウェアオプションを発表
計測機器メーカーのスペクトラム・インスツルメンテーション社は、高分解能デジタイザ59xxシリーズ向けに、オンボードで加算平均処理を実行する新しいファームウェアオプションを発表した。オンボードFPGA上で直接平均化処理を行うことで転送や保存が必要なデータ量を大幅に削減し、最大毎秒200万イベントの高繰り返しレートの信号を処理できるとしている。新オプション「M2p.xxxx-spavg」は新規製品向けに提供を開始しており、既存製品へのフィールドアップグレードにも対応する。
FPGAを活用した高速オンボード平均化処理
今回のファームウェアオプションは、不要な信号ノイズを低減するとともに、測定分解能、ダイナミックレンジ、S/N比(SNR)を向上させる加算平均処理をオンボードFPGA上で実行する機能である。FPGAベースの処理により、1回の取得で最大64 KSamplesの波形でも高速な平均化が可能となる。
スペクトラム社のテクノロジー・ディレクターであるOliver Roviniは、同機能について「不要なノイズによって埋もれたり、歪んだりする信号の特性を評価する必要があるユーザーに、きわめて優れた波形平均化機能を提供します」と述べている。微小な信号やパルスの解析、ノイズに埋もれた信号の測定に適しており、質量分析、LiDAR、電波天文学、オートメーション、レーダー、バイオメディカル、原子核物理学、通信、ソナーなど多様な分野での活用が見込まれている。
59xxシリーズ デジタイザのラインナップと拡張性
59xxシリーズ デジタイザには、24種類のPCIeカードと28種類のEthernetベースの計測器が揃えられている。主な仕様として、サンプリングレートは5 MS/s~125 MS/s、分解能は16ビットに対応する。

1台あたりの入力チャンネル数は、PCIeカードが1~8チャンネル、スタンドアローン型計測器は4~48チャンネルから選択できる。さらに独自の「Star-Hub」システムでPCIeカードを接続することで、最大128チャンネルの完全同期型データ収集システムを構築できる。PCIeカードでは、収集したデータをバス経由で最大700 MB/sの速度でPCやGPUへストリーミング転送可能となっている。
加算平均処理によるS/N比と分解能の改善効果
加算平均処理は、信号に含まれるランダムな(非相関の)ノイズ成分を抑え、S/N比(SNR)を高める時間領域の信号処理手法である。ノイズがランダムで信号が周期的に繰り返される理想的な条件下では、平均化回数の平方根に比例してS/N比を向上させることができる。例えば64回の平均化を行うことで、S/N比を最大12 dB向上、あるいは測定分解能を約2ビット向上させる可能性があるという。
同社が示したM2p.5962デジタイザによる実証例では、約300 µVの微小な信号を125 MS/sでサンプリングした場合、当初はランダムノイズに埋もれていた信号が、8回の平均化によって3.6 µsごとに発生する3つのパルスとして確認可能となった。さらに64回の平均化処理を実施することで、振幅約300 µVのパルスと後続のより微小なパルスまで鮮明に捉えられることが確認されている。
スペクトラム社(Spectrum Instrumentation)は1989年に創業した計測機器メーカーで、モジュラー設計による250種類を超えるデジタイザ製品および波形発生器製品を展開している。
- 創業:1989年
- 創業者:CEO 兼 創業者Gisela Hassler
- 本社所在地:ドイツ・グロースハンスドルフ(ドイツのハンブルク近郊)
- 保証期間:5年保証
- 公式サイト:https://www.spectrum-instrumentation.com
本記事はスペクトラム・インスツルメンテーション社の発表をもとに作成しています。
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