奥会津地域の次世代意識調査が公開 定住意向4割に対し地元就職7%
只見川電源流域振興協議会(奥会津振興センター)のウェブサイトで、一般社団法人 地域・人材共創機構が調査・分析を担当した「奥会津地域における次世代の進路・意識調査」の公開レポートが2026年10月8日に公開されました。福島県・奥会津7町村の中学3年生・高校3年生を対象に2023年度から3か年にわたり実施した意識調査と、2019〜2024年度の卒業生の進路データを重ね合わせ、定住やUターンの意向と進路の実態のずれ、結びつく要因を分析しています。
定住・Uターン意向と進路実態の乖離
調査によると、回答者の42.2%(173人中73人)が定住またはUターンの意向を示しました。定住志向とUターン志向の有無による4分類では、両方とも低い「転出層」が100人(57.8%)と最も多かったものの、両方を持つ「定住Uターン層」が47人、定住のみの「地元定着層」が15人、Uターンのみの「Uターン潜在層」が11人となり、4割強が地域とのつながりを保つ意向を持っています。
一方で、地域の中学から管内の高校に進み、管内の企業に就職する経路をたどるのは、試算上100人あたり約7人(7%)にとどまります。2019〜2024年度の卒業生進路データ(中学卒1,047件・高校卒719件の合算)では、中学卒業生のうち管内の高校へ進学するのは45.5%で、52.2%が県内の管外の高校へ進学しました。管内3高校の卒業生では県外進学が42.1%と最も多く、奥会津管内への就職は14.3%となっています。
意向を結びつける要因と家族の期待
定住志向と最も強く相関したのは「両親や家族が、自分に住んでほしい/戻ってきてほしいと思っている」(相関係数0.52)でした。これに「将来、自分の住んでいる地域のために役に立ちたい」(0.50)、「地域の文化や暮らしの価値ある部分を未来に伝えたい」(0.44)、「将来働く候補になるような地元企業を知っている」(0.39)が続いています。
「家族の期待」に加えて「地域に役立ちたい気持ち」をあわせ持つ生徒の67%、さらに「地元企業を知っている」生徒の81%が定住意向を示しました。また、3つの指数のうち「地域・社会への関与意欲」は3か年すべてで定住志向と相関(令和5〜7年度で0.31/0.23/0.43)した一方、「学びに向かう力・自己認識」はほぼ無相関(−0.02/0.04/0.13)でした。なお、相関分析や決定木分析が示すのは変数間の関連であり、因果関係ではありません。

Uターン希望者の67.5%は20〜50代での還流を想定しており、いったん外に出たい理由の上位は「知識・技術の習得と視野の拡大」でした。
奥会津の現場に向けた4つの示唆

レポートでは、相関に基づく仮説として奥会津の現場に向けた4つの示唆を提示しており、実践を通じた検証を前提としています。

- 地元企業や地域の大人を知る機会をつくる(生徒による地元企業の取材、ロールモデルとの対話、高校生インターンシップなど)
- 地域づくりへの参画機会を提供する(探究学習支援、まちづくり団体・中間支援団体への生徒参画など)
- 保護者・現役世代を巻き込む(コミュニティ・スクールでの議論、地域の担い手が仕事と暮らしを語る場など)
- 転出後の関係を切らさない(域外に出た若者と地域をつなぐ仕組み、第二新卒世代向けUターン施策、都市圏での関係人口イベントなど)
一般社団法人 地域・人材共創機構の代表理事で青森大学 社会学部 准教授の石井重成は、「奥会津の中高生の4割が、地元に住み続けたい、いずれ戻りたいと考えています」としたうえで、若者の意向を左右しているのは本人の資質以上に家族や地域との関係であるとし、出た後もつながり続け、戻りやすくするための手立てを地域とともに考えていきたいと述べています。
調査の概要
- 調査名:奥会津地域における次世代の進路・意識調査
- 実施主体:只見川電源流域振興協議会(奥会津振興センター)
- 調査分析:一般社団法人 地域・人材共創機構
- 調査協力:一般社団法人 D2PA
- 対象地域:福島県 柳津町、三島町、金山町、昭和村、只見町、南会津町、檜枝岐村(奥会津7町村)
- 進路調査:奥会津7町村の中学校・高校の卒業生の進路データ
- 意識調査:奥会津7町村の中学3年生・高校3年生(2023〜2025年度の3か年)。2025年度の有効回答は173件(中学100件・高校73件)、回答期間は2025年10月1日〜11月30日、Googleフォームによる4段階回答
レポート全文や令和7年度・令和6年度・令和5年度の概要版(PDF)は、只見川電源流域振興協議会のウェブサイト「奥会津歳時記の郷」で公開されています。
【奥会津地域における次世代の進路・意識調査結果(令和5年度~7年度)の公開について(お知らせ)】https://okuaizu.net/cmscontrol/wp-content/uploads/2026/10/d9801a18d973edaf00abb5f8acbe63e8.pdf
本記事は一般社団法人 地域・人材共創機構の発表をもとに作成しています。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



