ステーキ店倒産急増 円安と食材高で苦境
帝国データバンクによると、2023年度のステーキ店の倒産件数は10件に上り、前年度の5倍となり過去最多を更新した。この背景には、円安の影響などで輸入牛肉の仕入れ価格が急上昇するなど、経営環境の急激な悪化が挙げられる。
財務省の貿易統計によると、ステーキ店などで使用が多い米国産牛肉(ロイン)の価格は、2023年度平均で100グラムあたり200円を超え5年間で1.4倍に急上昇。米国産より安価な豪州産も5年間で1.3倍となった。米国産の価格上昇は、ウクライナ紛争や干ばつなどの異常気象による飼料となる穀物や乾牧草の高騰が原因だ。
さらに、1年間で20円近く進んだ円安による輸入コストの増加や輸送費の上昇も価格に反映されている。セットメニューで提供されるサラダの野菜も高値で推移しており、ニンジンなどは平年比で一時9割高となった。
しかし、ステーキ価格は他の外食メニューと比べて割高であるため、客離れを懸念して値上げが容易でない店舗も多い。特に低価格を売りとしたステーキ店や小規模店では、急激な仕入れ価格の上昇に耐えられないケースが少なくない。
現在、ステーキチェーン店でも原材料などのコストアップから価格改定が相次いでいる。豪州産や肩ロースなど安価な生産国・部位への切り替えやサラダバーの種類変更など、対応に追われている状況だ。かつてリーズナブルな価格で楽しめたステーキ店にとって、大きな試練の時期が訪れている。