エムスリー株式会社は2024年10月3日、子宮頸がんワクチンの接種状況に関する調査結果を発表した。子宮頸がんは年間1.1万人の女性が罹患し、2,900人が亡くなる身近な病気だが、ワクチン接種により80～90%の予防が可能とされている。現在、12～16歳は定期接種制度、17～27歳はキャッチアップ接種制度により全額公費負担の対象となっている。

キャッチアップ接種は2025年3月に終了予定で、合計3回の接種が必要なため、標準的な接種間隔の場合は2024年9月末が初回接種の実質的な期限とされていた。しかし、8月末時点での17～24歳の接種率は約35%と低く、対象年齢全体の未接種者数は約320万人に上ることが明らかになった。

エムスリーが子宮頸がんワクチン接種対象施設所属医師に独自にアンケートを取ったところ、キャッチアップ接種世代の家族・親族がいる場合、90％以上が接種済みまたは接種予定ありと回答した。

標準より短い接種間隔で接種する「短縮接種」であれば、11月28日まで初回接種を開始することで2025年3月までに3回接種を終えることが可能となる。厚生労働省からも各自治体に対し、短縮接種が公費負担であることとスケジュールが周知された。

みんパピ！副代表の木下喬弘先生は、子宮頸がんワクチンの安全性が確かめられたため積極的勧奨が再開されたこと、接種により多くの命が助かることを説明し、不安や疑問がある場合は医療機関での相談を勧めている。

エムスリーは、日本最大級の医療従事者パネルや医療ビッグデータを活用し、日本の医療実態を中立的な立場で調査・研究し、その結果を広く発信することを目的としたシンクタンク「M3総研」を設立した。