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医療観察法の指定通院医療機関、職員の不安や業務圧迫など運営上の負担が明らかに

医療観察法に基づく指定通院医療機関の管理職を対象とした調査により、複数名の対象者を同時に受け入れることへの職員の不安や一般精神科医療の業務圧迫といった運営上の困難が明らかになりました。NSGグループの新潟医療福祉大学心理健康学科の野村照幸教授らの研究グループが実施したもので、診療報酬や財源の確保など、人員や財政面での支援ニーズが高いことも示されています。研究成果をまとめた論文は、『司法精神医学』第21巻第1号、2026年9月に掲載されました。

全国194機関を対象に困難感と支援ニーズを調査

医療観察法による通院医療は、対象者が地域で生活しながら社会復帰を進められるよう、指定通院医療機関を中心に社会復帰調整官、福祉サービス、訪問看護、行政機関などが連携して支援する仕組みです。

一方で、指定通院医療機関の多くは通常の精神科診療と並行して専門的な治療や支援を担っており、専従スタッフの配置が難しいなかで診察や面接、多職種による会議、関係機関との連絡調整、書類作成などが求められています。

今回の研究では、指定通院医療機関として確認できた全国194機関を対象に調査を行い、46機関の管理的立場にある職員から回答を得ました。先行研究と実務経験者による検討をもとに質問項目を作成し、医療機関の特徴や支援体制との関係を分析しています。

職員の不安や一般診療の圧迫など運営上の困難が浮き彫りに

調査の結果、困難感では「複数名の対象者を同時に受け入れることについての職員の不安」が最も高く、次いで「医療観察法業務による一般精神科医療の業務の圧迫」などが高い値を示しました。

支援ニーズにおいては、「治療・支援に見合った診療報酬」が最も高く、次いで「多職種を雇用するための財源」が挙げられ、人員面や財政面を含めた支援の必要性が示されています。

また、指定通院医療機関としての指定年数が長いほど困難感が高い傾向が認められました。さらに、受け入れている対象者数が多い医療機関や、提供する治療・支援の種類が多い医療機関ほど支援ニーズが高い傾向がみられ、困難感が高い医療機関ほど支援ニーズも高いという正の関連が確認されました。

専門機関との連携方法や持続可能な体制づくりが課題

指定入院医療機関との連携については必要性が高く認識されていたものの、現在の関わりの程度と指定通院医療機関の困難感や支援ニーズとの間には明確な関連が認められませんでした。この結果から、単に連携の機会を増やすだけでなく、必要なときに専門的支援をどのような形で地域の医療機関につなぐかを検討する必要性が示されています。

野村照幸教授は、長年取り組んできた医療機関であっても困難が小さくなるとは限らず、多くの対象者を受け入れ多様な支援を担う医療機関ほど支援ニーズが高い傾向にあったとした上で、課題をスタッフ個人の経験や努力だけに依存させず、人員確保や財政的支援、専門機関の知見を活用できる仕組みを組み合わせた持続可能な支援体制をつくる必要があると述べています。

論文情報および組織概要

本研究の原論文情報は以下の通りです。

  • 論文名:「指定通院医療機関の管理職の抱える困難感と支援ニーズ―医療観察法通院処遇の現状から―」
  • 著者:野村照幸、竹田康二、小池純子、宮崎真理子、本間(照井)稔宏、藤井千代
  • 掲載誌:『司法精神医学』第21巻第1号、4-14頁、2026年9月
  • 研究費:国立精神・神経医療研究センター精神・神経疾患研究開発費「包括的精神保健サービスを実現するための協働のあり方と人材育成に関する研究」(主任研究者:藤井千代)における分担研究課題「PPIの視点を取り入れた地域司法精神医療制度の開発」(分担研究者:竹田康二)

関連組織の概要は以下の通りです。

  • 新潟医療福祉大学(URL:https://www.nuhw.ac.jp/):看護・医療・リハビリ・栄養・スポーツ・福祉・医療ITを学ぶ6学部16学科の医療系総合大学。
  • NSGグループ(URL:https://www.nsg.gr.jp/):教育事業と医療・福祉・介護事業を中核に、幅広い事業を展開する101法人で構成された企業グループ。

本記事は新潟医療福祉大学の発表をもとに作成しました。

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