経営層の約8割がAIを日常活用、阻害要因最多は失敗を許容しない文化 共同調査
グロービス経営大学院大学と株式会社日経BPが発行する「日経ビジネス」は、グロービス経営大学院の在校生・卒業生を対象に実施したAI活用の実態に関する共同調査の結果を発表した。調査によると、経営層の約8割がAIを日常的に活用している一方で、組織のAI活用頻度と最も強い負の相関を示した阻害要因は試行錯誤や失敗を許容しない組織文化であることが分かった。さらに、AI活用の推進を妨げる要因について経営層と一般社員の間で認識の違いが浮き彫りとなっている。
経営層の約8割が日常業務でAIを活用
調査結果によると、経営層の79.8%がAIを日常的に利用していることが明らかになった。内訳は「業務の中核としてAIを活用している(AIなしでは業務遂行が困難)」が23.7%、「日常業務の中で頻繁に利用している(ほぼ毎日)」が56.1%となっている。
経営層の利用目的としては、「情報収集・調査(86.3%)」や「文書作成・推敲・文字起こし(84.2%)」が上位を占めた。また、「意思決定支援(シナリオ分析、意思決定の補助等)」へのAI活用については、経営層が47.5%だったのに対し、一般社員は28.7%にとどまった。

活用を阻む最大の要因は「失敗を許容しない文化」


自組織のAI活用頻度と阻害要因との相関を分析したところ、「AIに限らず、新しいものを導入した際の試行錯誤や失敗を許容する文化がない」が相関係数 r=−0.29となり、最も強い負の相関を示した。次いで「経営層のAI理解度が低い(r=−0.26)」、「AI活用の目的・意義が不明確(r=−0.23)」が続いている。


この結果から、組織におけるAI活用の進展にはツールやルールの整備だけでなく、試行錯誤や失敗を許容する組織風土や経営層の理解が関係していることが示唆されている。なお、本調査で示された相関関係は因果関係を示すものではないとしている。


経営層と一般社員で生じるAI活用への認識差
所属組織でAI活用の推進を鈍らせている主な要因については、役職による認識の差が見られた。経営層の34.5%が「自組織において、AI活用の推進を鈍らせている要素は思いあたらない」と回答した。
これに対し、一般社員では「AIに限らず、業務で使用できるツールに関する制限が厳しい(37.6%)」が最多となり、次いで「経営層のAI理解度が低い(28.0%)」、「AIに限らず、新しいものを導入した際の試行錯誤や失敗を許容する文化がない(26.8%)」が挙げられた。現場の社員ほどツールの利用制限や経営層の理解不足を課題視している状況が示されている。
AI時代に人間に求められる役割とリーダー像
今後3~5年でAIが不可欠な役割を担う業務として、経営層の88.5%が「バックオフィス業務(総務・経理等)」を挙げ、次いで「マーケティング(顧客理解・販売促進等)」と「戦略立案・分析」がともに69.1%となった。一方、人間が不可欠な役割を担う業務としては「営業・販売・接客(77.0%)」、「ビジョンの発信・共有(74.1%)」、「モチベーション・メンタルヘルス管理(64.7%)」が上位となった。
また、経営層が今後3~5年でビジネスリーダーに重視する能力は、「リーダーシップ(人・組織を巻き込み、方向づける力)(86.3%)」、「コミュニケーション能力(対人・対組織の調整力)(82.7%)」、「やり抜く力(困難に直面したときにあきらめない意欲)(79.1%)」が上位となり、「デジタル・AI活用能力(生成AI・ITツールの業務活用)」は48.9%だった。「好奇心」を挙げた割合は経営層が69.8%、上級管理職が63.3%であるのに対し、中間管理職は49.8%、一般社員は42.0%と職位によって差が見られた。
調査概要
- 調査期間:2026年5月19日~6月14日
- 調査方法:WEBアンケート
- 調査対象:グロービス経営大学院在校生・卒業生
- 有効回答数:618名(うち経営層139名)
- 回答者属性(職位):経営層 139人(22.5%)、上級管理職 90人(14.6%)、中間管理職 221人(35.8%)、一般社員 157人(25.4%)、その他 10人(1.6%)
- 回答者属性(所属組織の従業員規模):5,000人以上 165人(26.7%)、1,000~4,999人 131人(21.2%)、300~999人 102人(16.5%)、100~299人 72人(11.7%)、100人未満 146人(23.6%)
本記事はグロービス経営大学院大学の発表をもとに作成。
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