旅館・ホテル業界の景況感が好転、販売単価は高止まりも設備稼働率は堅調
株式会社帝国データバンクが国内の旅館・ホテル事業者を対象に実施した最新の景況感調査によると、2024年3月時点で60.0%の企業が景況感を「良い」と捉えていることが明らかになった。一方で、「悪い」とする企業は16.7%にとどまった。
調査結果によると、2023年における日本人の国内宿泊旅行の旅行単価は63,212円/人・回(速報値)で、コロナ禍以前の2019年と比較して14.8%増加している。この背景には、旅行へのリベンジ消費による需要増加や原材料・エネルギーコストの高騰、価格転嫁の進展、人材確保にともなう賃金の上昇などがあるとみられる。さらに、訪日外国人の回復も需要を押し上げる要因となっている。
帝国データバンクの「TDB景気動向調査」では、「旅館・ホテル」の販売単価が上昇したとする割合が2022年8月以降20カ月連続で60%を超え、2024年3月時点では75.3%に達した。また、設備稼働率についても2022年4月以降は「上昇」と捉える企業の割合が「低下」を上回り、2024年3月は59.7%となった。
ただし、深刻化する人手不足への対応や、食材をはじめとする各種コストの高止まりは企業収益を圧迫する要因となっており、宿泊料金の値上げは続くと予想される。国内のリベンジ消費が一巡する中で、各社は独自性や希少性、高級感などを打ち出し、優勝劣敗が顕著になっていくとみられる。