粉飾倒産74件、過去最多 負債50億円以上も1割

帝国データバンクが実施した粉飾企業の倒産動向調査によると、2024年1月から9月までの「粉飾」倒産は74件に上り、前年同期比で27.6%増加したことが明らかになった。この件数は、2016年の集計開始以降で最多となり、2024年通年でも年間最多件数を更新する可能性が高いという。

業種別では、「建設業」が18件(構成比24.3%)で最も多く、次いで「卸売業」が16件(同21.6%)、「製造業」が14件(同18.9%)となった。また、業歴別では「30年以上」の企業が37件(構成比50.0%)で最多を占め、負債規模別では「1億~5億円未満」が21件(構成比28.4%)で最も多かった。

特に注目すべきは、負債50億円以上の倒産が全体の約10%を占めるなど、負債規模の大型化が相次いでいる点だ。これは、2020年以降のゼロゼロ融資等の各種支援策の効果で粉飾決算の発覚が表面化しづらい状況が続いていたものの、アフターコロナの局面で金融機関に借入金の返済猶予や追加融資を申し入れた際に資産査定で発覚する事例が増加しているためとみられる。

金融庁が個別債権の資産査定も辞さない姿勢を示すなか、金融機関の企業を見る目はこれまで以上に厳しくなることが予想される。さらに、今後金利が上昇する局面に入れば、借り換えの機会が増え、財務内容の精査で不正が発覚して倒産に至るケースが増加傾向で推移する可能性が高いとされている。

アクセスランキング

今日

1週間