食品値上げ再燃 円安で秋以降拡大も

帝国データバンクは、2024年5月以降の食品値上げ動向と展望について分析を行った。5月の値上げ品目数は417品目で、前年同月比50.2%減の420品目減少し、2カ月ぶりに1千品目以下となった。値上げ1回あたりの平均値上げ率は31%で、2022年以降初めて30%台を記録した。

2024年の値上げ品目数は10月までの累計で7424品目、年間の平均値上げ率は18%に達した。値上げ要因では「原材料高」の割合が高まっており、24年1-10月の値上げ品目のうち90.5%を占めた。カカオ豆やインスタントコーヒー原料のロブスタ豆、オリーブなどの原材料価格高騰により、「原材料高」値上げが一部食品で再燃した。

5月の値上げは、PETボトル飲料や缶飲料、コーヒー製品など「酒類・飲料」が253品目で最多だった。「加工食品」は97品目、「原材料」は66品目で、オリーブオイル製品で50%を超える大幅な価格引き上げが目立った。

今後の見通しとして、物価高止まりを既定路線とする見方が消費者に広がる一方、実質賃金の伸び悩みから節約志向は根強い。量販店やコンビニでは一部製品の値下げもあるが、大幅な価格引き上げは難しい局面となっている。

ただ、「原材料高」による値上げが再燃しており、小麦価格据え置きの解除で7月以降の値上げ動きが強まる可能性がある。34年ぶりの安値で推移する円安も、原材料の輸入コスト増につながっている。人件費や物流費のコストアップも続いており、飲食料品への値上げ圧力は高まると予想される。

2024年後半の値上げは、店頭での値下げ圧力とコストアップの板挟みとなりながら、月平均1千品目前後、年間最大1.5万品目のペースで推移すると予想される。ただ、円安の長期化や一段の進行があれば、今秋にも円安を反映した値上げラッシュが想定され、予想品目数から上振れする可能性がある。