NEDO、サイバー防御・分析能力強化に着手

NEDOは、経済安全保障重要技術育成プログラム(通称”K Program”)の一環として、「先進的サイバー防御機能・分析能力強化」の研究開発に着手する。近年、サイバー空間では多様なサービスが展開される一方、AIを活用した攻撃や量子計算機の広がりに伴う既存暗号の危殆化によるデータ漏えいリスクなど、新たな脅威が生じている。

本事業では、サイバー空間の情報を収集・調査する状況把握力とサイバー攻撃から機器やシステムを守る防御力の向上、それらの能力と技術の評価技術および評価環境の開発・展開を目指す。また、重要インフラの利便性とセキュリティを確保するため、量子情報通信技術の開発にも取り組む。

経済安全保障重要技術育成プログラムは、日本が技術的優位性を高め、不可欠性を確保するために、国が重要技術の研究開発を強力に進め、育成していくことを目的としている。NEDOに造成された基金により、国が定める研究開発ビジョンや研究開発構想に基づき、民生利用のみならず公的利用につながる研究開発とその成果の活用を推進する。

本事業の研究開発項目は以下の4つだ。

  1. サイバー空間の情報を収集・調査する状況把握力の向上
  2. サイバー攻撃から機器やシステムを守る防御力の向上
  3. 共通基盤の整備
  4. セキュアな量子情報通信技術の開発

研究開発項目(1)~(3)の予算は290億円以下、期間は2024年7月~2029年6月(予定)で、実施予定先は一般社団法人サイバーリサーチコンソーシアムである。研究開発項目(4)の予算は30億円以下、期間は2024年7月~2027年6月(予定)で、実施予定先は株式会社日立製作所だ。

NEDOは、これらの研究開発を進めることにより、自由、公正かつ安全なサイバー空間の確保を目指している。サイバー空間とフィジカル空間の垣根を超えた主体間の相互連関・連鎖性が深化する中、不確実性の変容・増大によって生じるリスクを適切に把握し、対応していくことが重要となっている。