表計算ソフトからの“卒業”、中小企業向けタスク管理ツール「Suit UP」が目指すもの

中小企業における労働生産性の向上が課題となる中、タスク管理ツールの新たな選択肢として注目を集める「Suit UP」。表計算ソフトの使い勝手と、専用ツールの機能性を両立させた“ちょうどいい”サービスの狙いとは。

「チームでタスク管理をすれば効率が上がることは、誰もが分かっている。でも続かない」。株式会社スーツの代表取締役社長CEO 小松裕介さんは、中小企業が抱えるジレンマをこう表現する。同社が2024年4月にβ版をリリースしたプロジェクト・タスク管理ツール「Suit UP」は、この課題に正面から取り組もうとしている。

「ちょうどいい」を見つける

現在、タスク管理ツールの選択肢は大きく二つに分かれている。NotionやBacklogなどの高機能なツールと、表計算ソフトだ。しかし、前者は機能が多すぎて使いこなすのが難しく、後者はタスク管理専用ツールではないため必要な機能が不足している。

「多くの中小企業は、この『難しすぎる』と『機能が足りない』の間で悩んでいます。私たちが目指したのは、その中間にある『ちょうどいい』ツールの実現です」と小松さんは説明する。

「続けられない」の裏側に潜む課題

中小企業の現状を示す数字がある。統計データによると、その労働生産性は大企業の約3分の1。また、チーム向けのツール利用を見ると、「表計算ソフト」が25.2%、「タスク管理専用ツール」はわずか11.7%に留まる。

「チームでタスク管理をすれば業務効率が上がることは、誰もが分かっています。役割分担を明確にして、誰が何をいつまでにやるのかを把握すれば生産性が向上する。それを否定する人はいないんです」と小松さんは語る。それでもツール導入が進まない背景には、既存ツールの本質的な問題が隠れているという。

「高機能なツールほど設定項目が多くなりがち。結果として使いこなせず、導入しても続かない。本来なら続ければコストダウンや業務効率の向上につながるのに、それが実現できていない」と小松さんは指摘する。

馴染みのある操作感と必要な機能を両立

「Suit UP」の特徴は、多くの中小企業で使われている表計算ソフトの操作感を活かしつつ、タスク管理に必要な機能を過不足なく実装している点だ。「表計算ソフトは社会常識として定着している。新しいツールを導入する際の障壁を下げるため、この操作感は意識的に取り入れました」。

タスク雛形機能
期限通知機能

そのうえで、表計算ソフトにない機能として、タスク雛型機能や期限通知機能を搭載。特に定型タスク機能は、繰り返し発生する業務の自動設定を可能にし、入力の手間を大幅に削減できる。「必要な機能を厳選し、シンプルに使えることを重視しました」。

開発の原点は現場での実感

このツールの開発は、小松さん自身の経験が出発点となっている。企業再生や中小企業の企業価値向上に携わってきた20年の経験の中で、表計算ソフトでのタスク管理の限界を実感してきたという。

「令和の時代なのに、期限が近づくとスプレッドシートを見ながら一人一人に電話やチャットでリマインドしなければならない。これはおかしいと思ったんです」。この経験から、通知機能やタスクの自動設定機能など、継続的な利用を支援する機能の実装につながった。

広がる導入実績

β版リリースから約半年が経過し、上場企業から50人規模の会計事務所まで、様々な規模・業種の企業での導入が進んでいる。特に効果を発揮しているのは、定型的な業務が多い企業だという。

「入力項目を必要最小限に抑えることで、誰もが無理なく続けられるツールを目指しました。労働人口が減少する中、中小企業の生産性向上は待ったなしの課題。私たちのツールがその一助となれば」と小松さんは語る。

今後も同社では、地域に密着した展開を続けていく方針だ。すでに全国各地で実施している導入支援キャンペーンは第20弾を迎え、11月5日から新たに熊本県の中小企業を対象としたキャンペーンをスタートさせている。

経営支援クラウド 「Suit UP」 – かんたん!毎日続けられる!チームのタスク管理
URL:https://suitup.jp

valvix

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