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EBウイルスが関わる血液疾患の「ゲノムの立体構造異常」を解明 ―慢性活動性EBウイルス病などの新たな病態理解へ―

千葉大ら、EBウイルス関連T/NK細胞疾患でゲノム立体構造の異常を発見

CATEGORY: テクノロジー

千葉大学大学院医学研究院の礒貝俊太郎特任研究員、岡部篤史准教授、金田篤志教授らと、聖マリアンナ医科大学などの共同研究グループは、EBウイルス(EBV)が関わる慢性活動性EBウイルス病(CAEBV)や節外性NK/T細胞リンパ腫(ENKTL)の病態解明に向け、ゲノムの立体構造と遺伝子制御を解析しました。

解析の結果、EBV陽性細胞では本来不活性なゲノム領域が活性化し、EBV DNAとの接触に関連して周辺遺伝子の働きが高まることが明らかになりました。本研究は、EBVに伴うゲノム制御異常がT/NK細胞疾患の病態に関わることを示しており、新たな治療標的の探索につながることが期待されます。

研究の背景と着眼点

EBVは多くの人が感染する身近なウイルスですが、一部ではT細胞やNK細胞に感染し、CAEBVやENKTLといった難治性疾患を引き起こします。これらの疾患では共通する決定的な遺伝子変異が見つかっておらず、病態には未解明な点が多く残されていました。

そこで研究グループは、DNA配列そのものではなく、細胞核内でのDNAの折り畳まれ方を示す「3次元ゲノム構造」と、遺伝子の働きを調節する「エピゲノム」に着目しました。これまでEBV陽性胃がんなどでは、ウイルスDNAとヒトゲノムの接触に伴って遺伝子制御が変化することが知られており、この現象がEBV陽性T/NK細胞疾患でもみられるかが調べられました。

解析により、EBV陽性T/NK細胞では正常なT/NK細胞やEBV陰性腫瘍細胞とは異なるゲノム構造が確認され、本来は遺伝子が働きにくい不活性領域の一部が活性領域へと変化していることが分かりました。

さらに、EBV DNAとの接触部位は不活性領域から活性領域へ変化する場所に多く存在し、その周辺ではプロモーターおよびエンハンサーの活性化と遺伝子発現の上昇がみられました。こうした変化に関連する遺伝子の働きを抑えるとEBV陽性T/NK細胞の増殖が低下し、CAEBV患者の細胞でも同様の遺伝子制御の特徴が確認されています。

今後の展望

千葉大学大学院医学研究院の金田篤志教授は、研究成果について「EBV陽性T/NK細胞疾患におけるゲノム構造・遺伝子制御異常の一端が明らかになりました」とした上で、「今後は、これらの変化がどのように形成され、病気の発症・進展につながるのかを明らかにし、新たな治療法の開発につなげたいと考えています」としています。

発表論文の詳細

本研究成果は、米国血液学会の学術誌「Blood」に2026年9月2日に公開されました。

  • タイトル:Epstein-Barr virus-associated chromatin activation and enhancer engagement in T/NK-cell lymphoproliferative diseases
  • 著者:Shuntaro Isogai, Atsushi Okabe, Kazusuke Tanaka, Takuya Nakagawa, Shintaro Izumi, Masaki Fukuyo, Bahityar Rahmutulla, Natsumi Yoda, Motoaki Seki, Takayuki Hoshii, Hironori Yoshiyama, Norio Shimizu, Hiroshi Yasui, Ayako Arai, Emiko Sakaida, Atsushi Kaneda
  • 雑誌名:Blood
  • DOI:10.1182/blood.2025032640(期間限定でオープンアクセス)

本記事は千葉大学などの発表をもとに作成しました。

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