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九州工業大学、AIによるトマト収量予測の実証実験を福岡市で2026年9月開始へ

国立大学法人九州工業大学大学院生命体工学研究科の石井 和男研究室が取り組む「AIを活用したトマト収量予測の実用化に向けた圃場適応性実証」が、福岡市農林水産局が主催する「Fukuoka City スマート農業 チャレンジ農園プログラム」に採択された。同研究室は2026年9月より「福岡市今津リフレッシュ農園」内のハウスを活用し、小規模施設への適応性検証および実証実験を開始する。プロジェクト代表は生命体工学研究科博士後期課程生命体工学専攻 2年の佐藤 光が務める。

施設園芸が抱える熟度判断と収量予測の課題

日本の食品ロス量は年間461万トン、経済損失約3.8兆円に達しており、温室効果ガス排出や環境負荷の観点からもサプライチェーン全体での削減が求められている。園芸作物で産出額・栽培面積ともに第1位を占めるトマトなどの施設園芸現場では、収穫・選果の判断が熟練者の経験や勘に極端に依存しており、判断のばらつきや新規就農者の育成負担につながっている。現場ヒアリングでは約40%が判断業務に課題を感じていることがわかった。

また、天候や圃場の微小な環境変化によって収量が変動するため、2〜3週間前に行う出荷計画や特売企画の立案時に、実収量との間で週あたり約300kgの誤差が生じる場合があり、余剰生産による食品ロスや価格交渉力の低下を招いている。研究チームはこれまで9施設・53名のトマト生産関係者へのヒアリングを行い、AIとロボットを活用したスマート農業ソリューションの開発を進めてきた。

AIとロボットを活用した実証実験の内容

本プロジェクトでは、トマトロボット競技会での総合優勝実績や30年以上にわたるロボティクス研究アセットを活かし、現場作業の支援と収量予測を組み合わせたシステムの実用化を目指す。実証実験の概要は以下の通りである。

  • 実証期間:2026年9月 〜 2028年3月
  • 実証場所:福岡市今津リフレッシュ農園内 ハウスフィールド(約40㎡)
  • 実証内容:「AIを活用したトマト収量予測の実用化に向けた圃場適応性実証」

実証では主に3つの技術的アプローチを用いる。

  1. 自律走行・巡回型データ収集ロボット:レール上を走行し、高頻度で植物の時系列画像・温湿度や日射等の環境データを自動収集する。
  2. AI収量予測・熟度判定アルゴリズム:収集データからRGB-D画像・色相情報等を解析し、トマトの熟度を判定するとともに「2〜3週間先の収量」を予測する。
  3. 現場判断支援(ARグラス等):作業者の視界にリアルタイムで熟度や収穫指示をAR表示し、新人の即戦力化と収穫品質の均一化を支援する。

検証体制と今後の展望

本プロジェクトは、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)による「大学・エコシステム推進型スタートアップ・エコシステム形成支援」の採択を受け設立された地域プラットフォーム「PARKS」での大規模データ解析と並行して進められる。「Fukuoka City スマート農業 チャレンジ農園プログラム」を通じて、小規模施設における予測精度の検証および補正アルゴリズムの確立を図る。

将来的には、異なる環境・規模の圃場に対応できる収量予測基盤を確立し、「RaaS(Robot as a Service)」モデルによる初期導入コストを抑えた社会実装を推進するとしている。生産者にとっては即戦力化と販売計画の最適化、流通・消費にとっては廃棄ロスの極小化を実現し、持続可能なスマート農業の実現に貢献していく方針だ。

本記事は国立大学法人九州工業大学の発表をもとに作成。

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