JINSと阪大、メガネ販売ビッグデータを活用した近視と乱視の疫学研究論文を発表
株式会社ジンズと大阪大学大学院医学系研究科は、JINSが保有するメガネ販売のビッグデータを活用した「近視における疫学研究」および「乱視における疫学研究」の2本の論文を、アメリカ視覚眼科学会(ARVO)の公式機関誌「Investigative Ophthalmology & Visual Science(IOVS)」にて発表した。全国の店舗で取得した購買データを解析し、屈折状態の疫学的特徴の変化などを明らかにしている。メガネ販売のビッグデータを活用した臨床研究は日本初の試みだという(JINS調べ)。
近視の進行は30歳頃まで続くことが判明
近視に関する疫学研究では、全国434のJINS店舗でメガネを購入した6歳から35歳までの顧客452万5689人分の匿名化データを対象に、近視度数の年齢分布や変化速度などを解析した。
従来の学術研究では近視の進行は18歳から21歳で安定すると報告されていたが、今回の分析では男性が30歳、女性が29歳まで緩やかに進行し続けることが示された。また、近視の進行速度は6歳から7歳が最も速く、19歳にかけて緩やかになることや、10歳未満の学童ですでに1.3%が強度近視に達し、15歳では男女ともにおおむね10%に達することが明らかになった。

20歳で約2割に乱視、50歳以上で急増
乱視に関する疫学研究では、同様に全国434店舗で購入した6歳から89歳までの顧客920万4993人分のデータを基に、年齢別の乱視割合や乱視軸の推移、左右差の分布を分析した。
その結果、軽度・中等度の乱視の割合は10歳から増加して20歳で約2割に達することや、50歳以上で乱視を有する割合が急増することが判明した。さらに、50代から60代にかけて加齢に伴い直乱視から倒乱視への移行が急増して70歳で過半数に達すること、少なくとも片目に乱視(0.25D以上)を持つ乱視保有者約506万人のうち約9.4%に1.00D以上の左右度数差(不同乱視)が認められることが確認された。

産学連携による大規模データ分析の背景
JINSは2024年に大阪大学大学院医学系研究科と共同研究を開始した。社会医学講座公衆衛生学の川崎良教授、視覚先端医学の高静花寄附講座准教授とともに、脳神経感覚器外科学(眼科学)主任教授の西田幸二教授による監修のもとで研究が進められた。
研究に携わった川崎教授は、これだけの規模で屈折状況や年齢によるパターン、時間的変化を調査した研究は世界的に見ても貴重であるとし、今後は近視予防や適切な治療へのアクセスにつなげる課題に取り組む必要があると述べている。また、高准教授は、全国規模のデータ活用により日本人の乱視の実態を明らかにできたことが本研究の大きな意義であるとしている。
発表された論文の概要
発表された2本の論文の詳細は以下の通り。
近視における疫学研究
- 論文名:Distribution and Time Trends of Refractive Errors in Japanese Spectacle Wearers
- 共同研究者:川崎良、高静花、西田幸二(以上、大阪大学大学院医学系研究科)、松岡秀仁、堀清貴(以上、株式会社ジンズ メディカル戦略部)
- 分析対象:2021年9月1日〜2023年8月31日に全国434のJINS店舗でメガネを購入した6〜35歳の顧客データ(4,525,689人)
- URL:https://iovs.arvojournals.org/Article.aspx?doi=10.1167/iovs.67.10.5
乱視における疫学研究
- 論文名:Epidemiology of Astigmatism in Japan: Analysis of More Than 9,000,000 Spectacle Prescriptions
- 共同研究者:高静花、川崎良、西田幸二(以上、大阪大学大学院医学系研究科)、松岡秀仁、堀清貴(以上、株式会社ジンズ メディカル戦略部)
- 分析対象:2021年9月1日〜2023年8月31日に全国434のJINS店舗でメガネを購入した6〜89歳の顧客データ(9,204,993人)
- URL:https://iovs.arvojournals.org/article.aspx?articleid=2811774
本記事は株式会社ジンズの発表をもとに作成。
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