オンセミが新技術EPPを発表 2026年にサンプル提供開始へ
米国の半導体メーカーであるオンセミ(onsemi)は、複数の半導体ダイを単一のシリコンデバイスに統合する「エンベデッドパワープラットフォーム(EPP)」を発表した。シリコンウェハそのものをパッケージの基盤として活用し、従来ソリューションと比較して3~5倍の電力密度を実現する設計となっている。同社は2026年中に自動車およびAI関連分野の戦略顧客やエコシステムパートナー向けにサンプル提供を開始する予定だ。


EPPは、シリコンウェハそのものをパッケージとして活用することで、シリコン、シリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)などの半導体技術を一体的に実装・接続するアーキテクチャだ。FET、ドライバ、コントローラといった複数のデバイスを単一パッケージ内に組み込み、電気的性能、熱性能、機械的性能を統合的に最適化する。
また、同社の12インチシリコンウェハ製造技術を活用し、パワーシステムの統合プロセスを半導体製造工程の中で実現する。これにより、半導体業界で培われた設計ツールやウェハレベル製造技術、シミュレーション技術を活用した開発が可能になるとしている。
オンセミの社長兼CEOであるハッサン・エルコーリー(Hassane El-Khoury)は、このアプローチについて「パワーシステムの構築方法を再定義し、AIインフラ、電動化、自動化の新たな基盤となるでしょう」と述べている。
開発期間短縮とシステムレベルでの最適化
既存のパワーシステムでは電気設計、機械設計、熱設計が個別に進められることが多く、設計変更による開発期間の長期化が課題となっていた。EPPでは共通プラットフォーム上で設計・シミュレーション・最適化を統合的に行うことで、以下のような効果が見込まれている。
- アプリケーションに応じて3~5倍の電力密度を実現
- 開発期間を最短4カ月まで短縮
- 熱性能および放熱性能を向上
- 寄生インダクタンス低減による電力損失の削減
- デバイス制御性向上および高周波動作への対応
- 設計上のトレードオフを早期に把握し、設計終盤での設計変更を削減
- 複数の出力レベル、デバイス、アプリケーションに展開可能な共通アーキテクチャを実現
AIインフラおよび電動車向けへの応用
AIインフラ向けアプリケーションでは、初期のソリッドステートサーキットブレーカー設計において既存設計と比較して約50%の小型化と20%の温度低減を達成した。電力供給・変換・保護システムにおいて、よりコンパクトなパワーシステムと熱管理を提供する。
電動車向けアプリケーションでは、従来方式と比較して最大4倍の電力密度と15%の電力損失低減を実現する。スケーラブルなアーキテクチャにより、低出力車両から高性能車両まで共通のインバータプラットフォームを展開できるため、研究開発費や製造コストの低減、航続距離向上、システムコスト削減などの効果が期待されるという。
SUBARUとの技術協業と提供予定
株式会社SUBARUはEPPの戦略的技術協業に合意しており、オンセミと共に将来の車両全体に向けた次世代パワーアーキテクチャの評価を進めている。この協業を通じて、SUBARUは将来の電動車向け次世代パワーアーキテクチャ検討時に、EPP技術やエンジニアリングの専門知識に早期にアクセスできる体制を整える。
EPPは、2026年中に自動車やAI関連分野の戦略顧客およびエコシステムパートナー向けにサンプル提供が開始される見通しだ。
米国アリゾナ州スコッツデールに本社を置くオンセミ(Nasdaq: ON)は、自動車、産業機器、AIデータセンターなどのエンドマーケットにおいて、インテリジェントなパワーおよびセンシング技術を提供している。同社はS&P 500®インデックスに含まれている。詳細情報は公式ウェブサイト(www.onsemi.jp)で公開されている。
本記事はオンセミの発表をもとに作成。
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