災害時の避難経験なしが7割超 自信がない人は半数以上 日本赤十字社が調査
日本赤十字社は、全国の10代から60代以上の男女1440人を対象に実施した「災害時の避難に関する意識・実態調査」の結果を公表した。調査によると、災害を理由とした避難経験がない人が全体の7割を超え、自ら情報を収集して避難行動をとることに自信がないと答えた人が半数以上にのぼった。避難を開始する判断基準として公的情報が重視される一方、適切なタイミングの判断や避難所環境への不安が避難をためらう要因となっている実態が浮き彫りになった。
7割以上が避難経験なし 行動への自信は男女で差
災害を理由とした避難行動の経験について尋ねたところ、「避難経験はない」と回答した人が全体の72.3%を占めた。何らかの避難行動をとったことがある人の中でも、「避難所へ避難した」経験がある人は全体の8.5%にとどまっている。
また、災害時に自ら必要な情報を収集して避難行動をとることができるかという問いでは、「あまり自信がない」「できないと思う」と答えた人が53.2%と半数以上を占めた。性別で比較すると、男性が43.2%だったのに対し、女性は63.4%と20ポイント以上高い割合となり、女性の方が避難行動に対してより不安を抱えている傾向が示された。



避難判断は公的情報を重視 タイミングの迷いや移動への不安が壁に
災害時に信頼する情報源としては「地方自治体」が最も多く、避難を判断する際に重視するものとしても「避難指示の発令状況」が最多となった。「国の機関」や「気象警報や津波・火山・地震に関する特別警報などの発表状況」を重視する回答も上位に並び、公的機関による情報を重視する人が半数近くにのぼっている。


避難を開始するタイミングについて「気象庁や自治体など、公的機関が避難を呼びかけたとき」と回答した人が最も多かった一方で、避難をためらう理由としては「避難のタイミングが分からない」が最多となった。そのほか、「今いる場所を離れることへの不安」「避難先の環境に対する不安」「避難中の移動環境への不安」や、要配慮者の家族がいること、プライバシーや衛生環境への懸念なども避難を躊躇する要因として挙がっている。


避難所環境はトイレや入浴が最重視 10代はモバイルバッテリーの準備も


避難所の環境に関して「安心できる」と回答した割合はすべての項目で4分の1未満となり、特に「居住性・快適性」に対する安心感が最も低い結果となった。すべての項目において「やや不安である」「非常に不安である」と回答した割合の合計は、女性が男性よりも10ポイント以上高かった。
避難所で特に重要だと思うものとしては、「トイレ・入浴環境の提供」が1位、「プライバシー確保」が2位となり、「水・食料の提供」を上回った。現在行っている避難準備としては飲料水や非常食の備蓄、ハザードマップの確認が上位となったが、10代の回答に限ると「ハザードマップの確認」「避難先の確認」に次いで「モバイルバッテリー」が3番目に多く、飲料水や非常食の備蓄を上回る特徴が見られた。
平時からの備えと意識の定着に向けて
日本赤十字社事業局救護・福祉部防災業務課の山地智仁氏は、「災害時に命を守るためには、避難所や避難情報を『いざという時に知る』のではなく、平時から避難の判断基準や避難先、避難生活について理解し、自分ごととして備えておくことが重要です」とコメントしている。
日赤では、平時の普及啓発活動として「赤十字防災セミナー」などを展開しており、2026年4月には新規カリキュラム「大雨・台風の避難スイッチ」を開発した。早めの避難準備を促すとともに、自治体の防災施策や地域の取り組みへの連携を図っている。

調査概要
- 調査名: 災害時の避難に関する意識・実態調査
- 調査対象: 全国の10~60代以上の男女1440人(各年代男女各720人)
- 調査方法: ネットリサーチ(調査委託: 株式会社ネオマーケティング)
- 調査期間: 2026年7月
- 備考: 本調査は「令和8年熊本地震」の発生前に実施されたもの
本記事は日本赤十字社の発表をもとに作成されています。
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