ドイツPTBのセシウム原子泉時計にスペクトラム社のAWGカードが採用
計測機器メーカーのスペクトラム・インスツルメンテーション社は、ドイツ国立物理工学研究所(Physikalisch-Technische Bundesanstalt、以下PTB)が運用するセシウム原子泉時計に同社のAWGカードが採用されていることを発表しました。PTBのセシウム原子泉時計は国際原子時(TAI)の決定やドイツの国家標準時系の基準として用いられており、社会を支える各種システムの時刻同期に役立てられています。原子時計システムのデジタル化に際し、スペクトラム社のPXIe形式のAWG(任意波形発生器)カードが導入されました。
国家標準時系を支えるセシウム原子泉時計
PTBが運用するセシウム原子泉時計「CSF1」と「CSF2」は、ドイツの国家標準時系「UTC(PTB)」の基準となっており、PTBが提供する時刻サービスおよびドイツ全土の法定時刻の基盤を構成しています。これにより、鉄道、航空交通、通信、放送、コンピュータシステムなどの時刻同期に貢献しています。
セシウム原子泉時計は、セシウム133原子の基底状態にある2つのエネルギー準位間の遷移に相当する放射線の「9,192,631,770周期の持続時間」という1秒の定義に基づき動作します。極低温に冷却された原子集団をレーザーで打ち上げて噴水効果(fountain effect)を生じさせ、ラムゼー共振器を2回通過させて遷移確率を測定するサイクルを約1.2秒ごとに繰り返します。

セシウム原子泉時計では、レーザーを精密に制御する必要があります。従来はカスタムのアナログ回路が使用されていましたが、システムの維持が次第に困難になっていたことから、PTBの時間・周波数部門に所属するヨハネス・ラーム博士はアナログシステムをデジタル方式に置き換える検討を進めました。
その結果、スペクトラム社のPXIe形式のAWGカードが採用されました。このカードは、音響光学変調器(AOM)を介してレーザー周波数を操作し、原子の冷却、打ち上げ、検出を行うためのRF周波数を生成します。

特殊な要件に応えた新機能の開発
実装時には、M4x.6622-x4 AWGカードが備える既存の信号生成モードがPTBの特殊な要件に適合しないという課題が生じました。ラーム博士がスペクトラム社のサポートに問い合わせたところ、ソフトウェアエンジニアによって2日で「Sequence Restart Mode(シーケンス・リスタート・モード)」という新機能が開発されました。
テストを経て想定どおりの動作が確認された後、スペクトラム社はこの新機能を「65xx」および「66xx」シリーズのすべてのAWGを対象とした無償アップグレードとしてリリースしました。最新のドライバーをインストールすることで利用可能となっています。

- 創業:1989年
- CEO 兼 創業者:Gisela Hassler
- 本社所在地:ドイツのハンブルク近郊
- 事業内容:モジュラー設計を利用した250種類を超えるデジタイザ製品および波形発生器製品(PCIe、PXIe、Ethernetユニット(LXI))の開発・製造
- 保証期間:5年保証
- 公式サイト:https://www.spectrum-instrumentation.com
本記事はスペクトラム・インスツルメンテーション社の発表をもとに作成しました。
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