イルカの耳研究会、子ども向け相談でAI導入 大学生との話題の違いを公表
教育職や心理職を目指す学生で構成される学生団体「イルカの耳研究会」は、子ども向けピアチャットにAIを導入した後の利用状況に関する集計結果を公表した。AIとの会話と大学生との会話では話されるテーマに違いが見られ、子どもが相手に応じて相談内容を使い分けている様子がうかがえるとしている。同会は、子ども自身が相談相手を選べる環境に意味があるのではないかとの見方を示している。
AIと大学生で異なる相談テーマの傾向
同会が運営するピアチャットにおいて会話テーマを分類したところ、大学生との会話では3%だった「人間関係・トラブル」が、AIとの会話では12%を占めた。また、「心身の健康」に関する話題も大学生の7%に対し、AIでは25%となった。
なお、大学生との会話(2025年7月2日〜2026年3月25日、有効n=1,124)とAIとの会話(2026年7月25日〜8月5日、有効n=128)は集計期間や件数が異なるため単純な比較はできない。AIとの会話データは約2週間の速報値であり、傾向は今後変わる可能性があるとしている。意見交換では、AIという相手が加わったことで、人には話しづらくこれまで表に出てこなかった話題が出ているのではないかという見方が出ている。
大学生に寄せられる共感への期待と相談
一方で、趣味や学校の出来事など自由な対話を通じて大学生とのコミュニケーションを選ぶ子どももいる。対話を終えた子どもからは、話を聞いてもらえたことへの安心感や、共感して一緒に考えてくれたことに対する感謝の声が寄せられているという。
また、好きな人への接し方や大学入試の面接など、先輩としての大学生にアドバイスを求める相談も寄せられている。中にはAIと大学生の双方に同じ質問をし、大学生の意見を聞いたうえで行動に移す事例も見られた。
専門家の待機と相談相手を選べる重要性
同会では、大学生による対応だけでなく、必要に応じてバトンタッチできる専門家が待機する体制を整えている。研修および教育コンテンツの構築は精神保健福祉士の鈴川みやこ氏、研究の監修は公認心理師・臨床心理士・医学博士の戸田愛子氏が担当している。
これまで大人が設定した窓口に委ねられがちだった相談環境において、AIと大学生の双方が存在する場所を用意したことで、話題に応じた使い分けの様子が確認された。同会は、AIと人の優劣を比較するのではなく、誰に話すかを子ども自身が選べることそのものに意義があるのではないかとしている。なお、現在はプロンプトのメンテナンスのためAIとの会話を一時休止しており、2026年9月に再開を予定している。

- 団体名:学生団体イルカの耳研究会
- 学生代表:千ゆう子(東京大学大学院 教育学研究科在籍/公認心理師)ほか19名(東京大学、愛知教育大学、金城大学、大阪大学、奈良女子大学、九州大学)
- 公式サイト:https://dolphin.comuwa.or.jp
- システム提供:エースチャイルド株式会社
本記事はイルカの耳研究会の発表をもとに作成されています。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



