パナソニックEW社、データとAIを活用したレジリエントなサプライチェーンマネジメントを実現

富士通株式会社は2024年5月29日、パナソニック株式会社エレクトリックワークス社(以下、パナソニックEW社)のレジリエントなサプライチェーンマネジメントを実現するため、データとAIを活用する「Fujitsu Uvance」のオペレーションプラットフォーム「Fujitsu Data Intelligence PaaS」を基盤としたシステムを構築し、パナソニックEW社にて2024年4月より本格運用を開始したと発表した。

本システムは、国内外のサプライヤーや工場を含む3000社以上の拠点に散在する膨大なデータを全社横断的に統合することで、事業継続に向けた意思決定を支援する。電設資材製品を扱うパナソニックEW社は、事業部、部門、拠点ごとに数万点におよぶ製品、部品などの情報を形式の違うデータで個別管理していたが、これにより、生産、販売、在庫、部品調達など20の現行システムのデータ統合、20万品番を超える在庫部品の品番紐付、可視化を行い、PSI計画(Production:生産、Sales:販売計画、Inventory:在庫の頭文字を取ったもの)や部品調達計画などを全社レベルで全体最適化することを実現した。加えてAIを活用し、データに基づく精度の高い需要予測モデルを実装する。

「Fujitsu Data Intelligence PaaS」により構築したシステムの特長は、データの統合から業務システムまでオールインワンで構築できる点だ。これにより、PSI情報や部品調達計画、拠点ごとの在庫状況を全社レベルで掌握することができ、各部門が横断的に業務を推進することで効率化を図るとともに、拠点間の在庫調整や発注抑制などによる在庫平準化が可能となった。さらに、災害時における受注案件ごとの影響や事業全体での損益影響の把握を迅速化し、生産、供給の体制の維持に向けた意思決定を支援する。

また、「Fujitsu Data Intelligence PaaS」は、既存システムの改修を行うことなく、データの統合が可能であり、パナソニックEW社の20万品番を超える在庫部品の品番紐付、可視化を2週間という短期間で実現した。

AIによる高精度な需要予測の立案も特徴の一つだ。パナソニックEW社では、高精度な機械学習モデルを短時間で生成可能な富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi AutoML」を活用し、データ基盤に統合された情報から、過去5年分の主要部品の販売実績を元に300種の予測モデルを生成した。これにより、部品カテゴリーごとの精度の高いPSI計画の立案が可能となる。

富士通は、生産年齢人口の急減少により労働力不足が顕在化するといわれている2030年に向けて、パナソニックEW社の持続可能でレジリエントなサプライチェーン体制の構築を支援するとともに、業務改革を推進することで、現在の5割の工数でも同様の業務を行える生産性の実現に貢献していく方針だ。