Space Quartersが宇宙溶接・検査ユニットの軌道上実証へ Space BDと契約
株式会社 Space Quartersは、開発する宇宙用電子ビーム溶接ユニットおよびX線透過検査ユニットについて、国際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」船外実験プラットフォームにある中型曝露実験アダプタ(i-SEEP)を用いた軌道上実証を実施します。実証に向けて同社は、JAXAから当該設備を利用した軌道上利用サービスの提供事業者として選定されているSpace BD株式会社と、i-SEEP利用に関する契約を締結しました。
軌道上での溶接・非破壊検査実証と商品化への取り組み
今回の試験では、複数回にわたる溶接実証を通じて電子ビーム溶接ユニットの性能や耐久性を評価します。溶接後の試験片は地球へ持ち帰り、結晶構造や機械的性質などの詳細データを取得することで、宇宙環境における溶接現象の理解深化と技術信頼性の向上につなげる計画です。
あわせて、溶接部に対してX線透過検査ユニットを用いた非破壊検査を実施し、接合から品質保証までのプロセス確立を実証します。同社は本実証を通じ、両ユニットの商品化(TRL8到達)を目標としています。
電子ビーム溶接ユニットは、同社が推進する建築システムの中核をなす基盤技術であると同時に、単体としても軌道上サービスや月面での修理・組立に向けたツールとして提供可能な商品と位置付けられています。
独自開発による小型・軽量化と各ユニットの特徴

電子ビーム溶接は真空環境での施工が必要なため、地上では大型の真空設備が必須となりますが、宇宙空間では真空環境をそのまま活用できるため追加設備が不要となります。さらにシールドガスや溶加材が不要で、エネルギー効率が80%以上と高い特徴を持ちます。
Space Quartersは、省エネルギー入熱プロセス、精密な電子ビーム制御、小型・高効率の高圧電源、宇宙空間における高信頼絶縁という独自技術を組み合わせて最適化を図り、世界で最も軽量で高効率の電子ビーム溶接ユニットを実現しました。小型・軽量化により、ロボットへの搭載性向上やアームによる容易なハンドリングが可能となります。
また、X線透過検査ユニットは溶接部のサブミリオーダーの精密な内部欠陥を検出できる検査装置です。こちらも小型・高効率電源や宇宙空間における高信頼絶縁などの技術を組み合わせることで、現行品比で大幅な小型・軽量化を実現しています。

i-SEEPの活用と今後の実証準備
実証プラットフォームとなるi-SEEP(Small Exposed Experiment Platform)は、「きぼう」の船外に設置されたJAXAが整備・運用する小型実験プラットフォームです。
Space BDは2019年3月にJAXAよりi-SEEPにおける軌道上利用サービスの提供事業者として選定されており、Space Quartersは同社との契約締結によって実証の予約を完了しました。今後、詳細な技術調整や安全審査プロセスを進め、実証試験の実施に向けた準備を進める方針です。
企業概要
株式会社Space Quartersの概要は以下の通りです。
- 設立: 2022年6月
- 代表取締役CEO: 大西正悟
- 社員: 28名(役員含む)
- 所在地: 東京都渋谷区
- HP: https://space-quarters.com/jp
本記事は株式会社 Space Quartersの発表をもとに作成されています。
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