岩手県と森未来が大船渡の林野火災復旧に向けた被災木利用セミナーを都内で開催
株式会社森未来は2026年7月24日、岩手県より受託した「令和8年度林野火災復旧関連木材利用促進PR業務」の一環として、「岩手県 林野火災・被災木利用セミナー in MOCTION-木づかいで繋がる、林野火災からの森林再生-」の企画・運営を担当し、新宿パークタワー リビングデザインセンターOZONEおよびオンライン配信で開催した。令和7年(2025年)2月に大船渡市で発生した大規模林野火災からの復旧に向け、大量に発生する被災木の利用先確保や森林再生の道筋について、行政、研究機関、民間企業が報告や議論を行った。当日の様子は複数のメディアでも取り上げられた。

被災木の利用先確保が課題に 官民連携の動き

大船渡市の林野火災は、森林被害面積3,370haという昭和39年以降で国内最大規模の延焼となり、1名が亡くなったほか、家屋や農林水産業の施設にも被害が及んだ。さらに2026年4月には隣接する大槌町でも大規模な林野火災が発生している。被害を受けた森林の再生には被災木の伐採・搬出とその後の再造林が不可欠とされるが、発生する被災木の販売先や利用先の確保が課題となっている。

セミナーでは、岩手県知事の達増拓也氏があいさつに立ち、官民一体で県産木材の利用を進めてきた経緯に触れながら、森林の多面的機能の早期回復や新たな価値創出の視点を持つ重要性を語った。また、民間企業や森林組合などで構成する「TEAM森林再生大船渡」の設立など、官民連携の広がりを紹介した。続いて大船渡市長の渕上清氏が登壇し、「令和7年大船渡市大規模林野火災等に係る森林再生計画」に基づく市有林の跡地造林や私有林の境界確認作業の進捗を説明。被災木材を使用した建築工事への補助金を今年5月に創設したことを明かし、木材流通への組み込みに向けた専門家の協力を求めた。

科学的データが示す被災木の強度と早期活用の必要性


岩手県農林水産部林業振興課の鈴木善之氏は、製材所や木質バイオマス発電所への調査などを実施してきた経緯を説明した。京都大学・東北大学と連携した強度試験により「被災木の強度は健全木と遜色ない」ことが科学的に証明されたと報告する一方、今後の大規模な復旧事業に伴う供給過多を見据えた継続的な需要喚起の必要性を挙げた。


研究者からの報告では、千葉大学 環境リモートセンシング研究センター 准教授の峠 嘉哉氏が、2017年に発生した釜石市尾崎半島の林野火災跡地の8年間の変化を紹介した。焼損度が高い針葉樹は数年をかけて枯死し建造物等に被害を与えるおそれのある「危険木」化することを示し、早期利用の重要性を訴えた。岩手県林業技術センター 首席専門研究員の谷内 博規氏は、鎮火から3カ月経過した大船渡市有林の被災木の力学特性を測定した結果として、焼損の多くは樹皮の炭化にとどまり、製材した木材の多くが集成材JASの基準を満たすことを報告した。一方で乾燥による干割れや虫害リスクにも言及し、推移の把握と適切な管理・選別による有効活用の可能性を示した。


首都圏での採用実績と森林再生に向けた体制づくり
「TEAM森林再生大船渡」発起人メンバーで物林株式会社 社長室 新事業推進部 部長の勝田 幸仁朗氏は、合板やLVL、製材品など通常のスギ材で作られるほぼすべての製品で製造可能であることを確認したと報告した。東京・丸の内で2028年完成予定の高層木造ビル(東京海上日動火災新本店ビル)の仮設休憩所において、被災木を使った合板約1,200平米が採用された事例を紹介した。
造林を専門とする青葉組株式会社 代表取締役の中井 照大郎氏は、2026年4月に大船渡へ拠点を開設したことを報告した。スギに加え広葉樹の植栽を進めるほか、企業からの資金協力を森林管理につなげる仕組みを説明した。あわせて設立した一般社団法人「大船渡・森の再生」では、2026年7月時点で38名・168筆・約138haの山林を引き取り、管理が難しい森林を集約する体制を整えているという。
手塚さや香氏の進行によるパネルディスカッションでは、木を伐採してから製品化するまでに短くて2カ月、長ければ半年ほどかかる実情が共有され、利用を検討する際は早期にTEAM森林再生大船渡(事務局:気仙地方森林組合)へ相談することが呼びかけられた。
森未来は次の展開として、2026年11月に首都圏の設計士やゼネコンなどを対象とした1泊2日の現地視察会を予定している。
- 会社名:株式会社森未来
- 代表者:代表取締役 浅野 純平
- 所在地:東京都港区芝5-27-6 泉田町ビル6階
- 設立:2016年4月
- 事業内容:森林・林業・木材に関するITビジネス
本記事は株式会社森未来の発表をもとに作成。
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