カスハラ対策と合理的配慮の両立へ Ayumiが現場の対応力を養う研修を展開
2026年10月1日に改正労働施策総合推進法が施行され、労働者を雇用するすべての事業主にカスタマーハラスメント(カスハラ)防止の雇用管理上の措置が義務付けられた。一方で、2024年4月に義務化された障害者差別解消法に基づく合理的配慮の提供との両立において、接客現場での判断に課題が生じている。こうした状況を受け、一般社団法人Ayumiは、顧客への配慮と従業員の安全を両立するための研修を展開している。
厚生労働省の指針では、カスハラに毅然と対応する方針を求める一方で、顧客等に障害がある場合には合理的配慮の提供義務に留意する必要があるとされている。接客の現場では、カスハラ対策と合理的配慮という2つの義務を同時に果たすことが求められる状況となった。

改正法の施行にあわせて株式会社マクロミルが2026年9月30日~10月1日に生活者3,000人を対象に実施した調査によると、46.0%が「正当な苦情や要望までカスハラとして扱われること」を懸念していると回答した(マクロミル調べ)。従業員を守る対策が進む中、配慮を求める正当な声との線引きについて現場の判断が問われている。
障害当事者が語る現場対応への受け止め
一般社団法人Ayumiに所属する障害当事者からは、現場の対応やカスハラ対策に対する意見が寄せられている。

同法人アドバイザーのR・N(肢体不自由・先天性脳性麻痺)は、駅での対応事例に触れ、理由の説明があれば納得感が異なると指摘した上で、「障害当事者はクレームを言う存在だと受け止めてほしくありません」と述べている。現場の従業員の立場や尊厳が守られることの重要性にも言及している。
また、同法人のSNS担当を務めるK・T(車椅子使用・聴覚障害)は、タクシー利用を断られた経験を挙げ、伝え方ひとつで受け止め方が変わると説明する。障害のない人と同じように利用したいという声がカスハラとして一蹴されることなく、より良い社会につながることを願うとしている。

状況に応じた対応力を養う研修プログラム
Ayumiが提供する「カスハラ×合理的配慮」研修は、「配慮を求めること自体はカスハラに当たらない」という前提に立ち、顧客の困りごとと従業員の安全の両面を捉えて個別の状況に応じた対応力を養うことを目的としている。
プログラムは、基本の理解、現場の悩みに合わせた設問による検討、社内運用への反映という段階的な構成がとられている。主な特徴は以下の通りである。
- 事前ヒアリングで実際に起きた事例や判断に迷う対応を反映
- 内容やプランに応じて障害当事者も講師を担当し、アウトプットを基本とした設計
- パート・アルバイト向けや管理者向けなど参加者の役割に応じた設計
幅広い業種で122社・140回の実施実績
Ayumiは2026年9月末時点で、122社・140回の研修を実施してきた。ホテル・旅館、飲食、商業施設、自治体、観光協会、医療機関、学校など多様な業種や団体が対象となっている。
全国展開のホテルチェーンに向けた階層別研修や、自治体・地域事業者向けの2本立て研修、都内の印刷・コワーキング施設での接客講習や補助犬受け入れ支援などの事例がある。
一般社団法人Ayumiの概要は以下の通り。
- 法人名:一般社団法人Ayumi
- 代表理事:山口広登
- 所在地:東京都渋谷区神宮前6丁目23番4号 桑野ビル2階
- 事業内容:店舗や施設のバリアフリー化支援・バリアフリー情報サイトの運営・企業研修
- 法人URL:https://the-ayumi.jp
- 電話番号:03-6778-2636
本記事は一般社団法人Ayumiの発表をもとに作成。生活者調査に関する記述は株式会社マクロミルの公表情報(2026年10月2日発表)に基づいている。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



