桜町測量の桜町電子基準局が民間等電子基準点A級登録 個人事務所初と発表
福岡県大牟田市の桜町測量(溝田・佐野土地家屋調査士事務所)が設置・運営するGNSS連続観測局「桜町電子基準局」が、2026年9月1日付で国土地理院の民間等電子基準点A級に登録された。公表登録簿で確認できる範囲において、個人事務所を申請者とするA級登録は初となる(桜町測量調べ)。同観測局にはビズステーション株式会社の「Drogger」が採用されており、2026年10月15日からRTK補正データの無償公開を行っている。

全国の民間等電子基準点A級は344点

国土地理院の2026年10月6日更新の登録簿によると、民間等電子基準点のA級は全国で344点となっている。ソフトバンク株式会社と株式会社NTTドコモの2社が登録する計2,913点の内訳では、A級が339点(約11.6%)、B級が2,574点(約88.4%)を占める(通信キャリアの数値は2社の合計)。

同更新時におけるA級の申請者は、公益社団法人日本測量協会、ソフトバンク株式会社、株式会社NTTドコモ、九州電力株式会社、そして桜町測量の5者である。
A級は、国土地理院が「土木及び建築工事に活用可能な信頼性を確保、地殻変動監視にも活用可能」と位置付ける性能区分で、使用機器のほか、国家座標への準拠、設置環境・構造、連続観測データの品質などについて基準が定められている。

桜町電子基準局には、3周波GNSS受信機「RZS.D」と高精度チョークリングアンテナ「HX-CGX624A」が採用されている。この組み合わせは、国土地理院の1級GNSS測量機(登録番号:235)として登録されている。
観測局の運用には、設定・観測を行うAndroidアプリ「Drogger-GPS」、観測データを後処理する「Drogger Processor」、受信機内蔵のNtrip Server機能と中継サービス「Drogger Ntrip Caster」、通信停止・回復を知らせる監視メールなどの仕組みがそろえられている。
対応製品のユーザーは、解析ソフトのPersonalライセンスや配信・監視サービスなどを無償で利用できる(検定書出力など一部機能は有償、通信料・電気料金等は別途必要)。自前で配信サーバーや監視システムを構築・管理する負担を抑えられる点が、個人事務所による継続運用と地域への無償公開を支えている。なお、同様のDrogger Ntrip Casterの配信環境は、静岡県が整備した21局のGNSS基準局でも活用されており、同県は2026年7月から補正情報を問い合わせ不要・無償で提供している(静岡県の事例は配信サービスの活用を示したものであり、受信機・アンテナが同一製品であることを示すものではない)。
技術支援を受け環境改善を重ねてA級登録へ
桜町測量は、2023年のDrogger RZS.Dの発売と1級GNSS測量機への登録を機に取り組みを開始した。初回は登録に至らなかったが、2025年にHX-CGX624Aが対応アンテナとして登録対象に追加されたことを受けて機器を更新し、再挑戦した。
ビズステーション株式会社から観測データの取得方法や品質確認について技術的助言を受けながら、設置環境の改善、停電・落雷対策、長期間の連続観測と品質確認を重ねたことで、今回のA級登録が実現した。
桜町測量の溝田 智司氏は、観測から解析・配信・監視までを支えるエコシステムにより費用の見通しが立ちやすく管理負担を抑えられる点を挙げ、業務で使用する環境を地域でも役立ててほしいとしている。また、ビズステーション株式会社も、信頼性の高い基準局の構築に技術面で協力できたとし、地域への補正データ無償公開は幅広い分野での活用に向け意義があるとしている。
地域の建設やスマート農業向けに補正データを無償公開
本観測局の補正データは、対応するGNSS受信機と通信環境を用意することで、良好な衛星受信環境等の条件下においてセンチメートル級のリアルタイム測位に利用できる。大牟田市や荒尾市をはじめとする有明地域でのICT施工、土地・建物の調査測量、UAV測量、スマート農業、災害復旧、研究・教育などでの活用を想定している。接続に必要な設定情報は桜町測量のウェブサイト(https://sakura.3ku.jp/rtk-system/)で公開されており、本取り組みは2026年10月15日付の地元紙「有明新報」の一面でも紹介された。
観測局の概要は以下の通り。
- 級別分類:民間等電子基準点A級
- 所在地:福岡県大牟田市桜町132番地
- 設置・運営:桜町測量/溝田・佐野土地家屋調査士事務所
- GNSS受信機:Drogger RZS.D
- GNSSアンテナ:HX-CGX624A
- 対応衛星:GPS、みちびき(QZSS)、GLONASS、Galileo、BeiDou
- 対応信号:GPS:L1C/A・L2C・L2P・L5、みちびき(QZSS):L1C/A・L1C/B・L2C・L5、GLONASS:L1CA・L2CA・L3 CDMA、Galileo:E1・E5a・E5b・E6、BeiDou:B1I・B2I・B3I
- 提供方式:NTRIP方式(RTCM3.2メッセージ1005、1075、1085、1095、1115、1125、1230)
- 利用料金:無料
- 利用登録・申込み:不要
- 主な利用想定地域:大牟田市、荒尾市および周辺地域
※測位精度や利用可能範囲は、使用するGNSS受信機、衛星配置、上空視界、周辺環境、観測局からの距離、通信環境等により異なる。公共工事・公共測量等で使用する場合は適用される基準や仕様書等の確認が必要。
本記事は桜町測量およびビズステーション株式会社の発表をもとに作成。
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