キヤノンITSと日本ATMビジネスサービス、第46回事例研究賞を受賞
キヤノンマーケティングジャパングループのキヤノンITソリューションズ株式会社(キヤノンITS、本社:東京都港区、代表取締役社長:須山寛)は、日本ATMビジネスサービス株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:石橋 裕一郎)と共に、2026年9月10日に公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会(日本OR学会)の「第46回事例研究賞」を受賞した。

受賞対象となったのは、同学会の機関誌「オペレーションズ・リサーチ」第70巻第5号(2025年5月)に掲載された論文「移動効率と有高適正化を両立するATM共同装填計画の立案」である。入出金予測と数理最適化を組み合わせることで、複数金融機関のATMにおける共同装填の運用効率化とサービスレベル維持を両立させた取り組みが評価された。
ATM装填計画における課題と共同装填の背景
ATMに紙幣や硬貨を補充・回収する現金装填業務では、利用者が安定して利用できる状態を維持する必要がある。そのため、現金不足によるサービス停止や収納現金の溢れを防ぎながら、警備員による訪問回数や移動距離、ATM内で管理する現金量を抑えることが求められていた。
従来は金融機関ごとに装填計画を立案していたため、近接するATMであっても別々の車両が訪問する場合があったほか、計画担当者の経験や勘に依存することも課題となっていた。こうした状況に対し、複数金融機関のATMを一元的に管理・運用する共同装填という日本ATMビジネスサービスの構想において、キヤノンITSが入出金予測と数理最適化を組み合わせた計画立案手法を構築した。
実運用での成果と受賞理由
本技術では、曜日ごとの利用傾向、年間イベント、給与支給日などを考慮したATM別・金種別の入出金予測と、現金管理や業務量上限を考慮する計画ロジックを一体化させている。さらに、ATMへの訪問回数、移動効率、サービスレベル、保管現金量といった複数の指標を考慮する技術を実運用へ適用した。
2025年1月時点で20銀行、全国約3万台のATMの計画を日々自動で立案しており、一部の金融機関ではATMへの訪問回数を最大45%、ATM内の月平均保管現金量を最大20%削減する定量的な成果を上げている。また、数百台規模のATMを対象とした計画を3~10分以内で作成できるようになり、計画業務の属人化低減にも寄与している点が評価された。
受賞概要と研究の骨子
受賞の詳細は以下の通りである。
- 学会名:公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
- 受賞名:第46回事例研究賞
- 受賞日:2026年9月10日
- 受賞対象文献:「移動効率と有高適正化を両立するATM共同装填計画の立案」
- 掲載誌:「オペレーションズ・リサーチ」第70巻第5号(2025年5月)
- 受賞者・著者:中尾 芳隆、小西 伸之(キヤノンITソリューションズ)、神野 太郎(ゆうちょ銀行)、中田 勝久、和賀 宜美(日本ATMビジネスサービス)
本研究では、ATMごとの過去の入出金実績から曜日波動、年末年始などの年間イベント、給与支給日や年金支給日などの特定日、直近トレンドを考慮して日別・ATM別・金種別の入出金を予測する。その予測と最新有高を基に、資金切れや溢れを回避しながら訪問回数、移動距離、保管資金量、業務負荷などを同時に改善する装填計画を自動立案する。近接する複数金融機関のATMを同日に訪問する「ついで装填」も考慮し、共同装填の移動効率向上を実現している。
今後の展開
数理技術とは、解決したい問題を数式でモデル化し、制約条件のもとで最適な意思決定を導く技術であり、学術的にはオペレーションズ・リサーチ(OR)と呼ばれる。キヤノンITSは60年以上にわたり数理技術を実践しており、今回の受賞を機に、需要予測や数理最適化などの数理技術を金融分野にとどまらず、生産、物流、SCM、販売、働き方改革、環境、交通などの幅広い領域へ展開するとしている。
本記事はキヤノンITソリューションズ株式会社の発表をもとに作成。
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