IMVとヒューリック、川崎に民間の宇宙機専用ワンストップ試験所を開設へ
大阪府大阪市に本社を置くIMV株式会社(代表取締役社長 CEO:小嶋淳平)と、東京都中央区に本社を置くヒューリック株式会社(代表取締役社長:前田隆也)は、神奈川県川崎市川崎区南渡田町で開発が進む「(仮称)南渡田北地区北側開発計画」内に、民間の宇宙機専用ワンストップ試験所を開設することを決定した。
本施設は、2026年2月にIMVが代表機関として採択されたJAXA宇宙戦略基金事業「宇宙機の環境試験の課題解決」の一環として整備される。同事業においてIMVは、国内の宇宙機開発における「試験機会の確保」と「信頼性評価に関する技術・知見の充足」の解決を担う代表機関として、試験拠点の整備と新たな試験・評価手法の研究開発を進めている。
国内の宇宙機開発における試験の課題
ロケットや人工衛星、それら搭載機器は、打上げ時の振動や衝撃、宇宙空間の真空・温度環境など地上と大きく異なる環境にさらされるため、打上げ前に地上でこれらを再現して耐性を確認する環境試験が不可欠とされている。環境試験には振動試験・温度試験・熱真空試験・EMC試験などが含まれ、人工衛星であれば搭載するロケットが要求する試験を実施してクリアしなければならない制約がある。
国内では試験設備が各地に点在しており、試験ごとに施設を探して日程や条件を個別に調整するケースが多く、担当者の負担増加や試験品を運搬する際の破損リスク上昇が課題となっている。また、国内には50kg級の小型衛星向け設備が2か所(福井県立工業試験センター・九州工業大学)と1tを超える大型衛星向け設備(JAXAつくば)がある一方、近年増加している100~300kg級の人工衛星に適した試験環境が不足している。
こうした状況を受け、新拠点では近年ニーズが高まる100~300kg級、特に200kg級の人工衛星を主な対象として、必要な環境試験を一か所で実施できる体制を整備する。
IMVの技術と外部機関との連携
IMVは1957年の設立以来、振動試験を中心に環境試験・計測技術を培ってきた。現在では試験装置の開発・製造・販売に加え、振動、衝撃、温度・真空、EMCなど幅広い受託試験を展開し、国内7か所の受託試験所で累計2万件以上の試験に対応している。
新拠点では培った技術やノウハウを生かし、試験の条件策定や外部機関との連携を含めた宇宙機の環境試験を一括してコーディネートする。また、振動・衝撃試験では大阪公立大学・熊本大学、熱真空試験では九州工業大学、音響試験ではTOA株式会社などと連携し、施設整備にとどまらず現在の宇宙機開発に適した試験方法そのものの効率化・最適化にも取り組むとしている。
川崎・南渡田地区での拠点形成
新拠点を開設する南渡田地区を含む川崎臨海部は、2026年9月11日、国の「GX戦略地域」の「コンビナート等再生型」として全国で初めて認定され、新たな産業の創出・集積に向けた取り組みが進められている。ヒューリックが開発を進める「(仮称)南渡田北地区北側開発計画」では研究開発機能を有する企業等の集積が進められており、研究開発から実証・試作、事業化までを一体的に支える新たなスケールアップ拠点の形成が進んでいる。
神奈川県は人工衛星をはじめとする宇宙関連企業の集積が進む地域であり、県においても宇宙関連産業のクラスター形成が進められている。新拠点はこうした集積地において、宇宙機開発に不可欠な試験・評価を担う拠点として、国内の宇宙産業のさらなる成長・競争力向上に貢献していく方針だ。
計画・建物の概要
- 名称:(仮称)南渡田北地区北側開発計画 研究棟D
- 所在地:神奈川県川崎市川崎区南渡田町13番38(地番)
- 交通:鉄道はJR南武支線、JR鶴見線「浜川崎」駅徒歩3分。バスはJR「川崎」駅から各停留所(3ヶ所)まで15分、各停留所から徒歩1~3分(※まちびらきに合わせ、川崎駅から直通のBRTが開通予定。徒歩分数は「(仮称)南渡田北地区北側開発計画」の開発区域内の最寄り地点を起点として算出)
- 敷地面積:1,643.19㎡(497.06坪)
- 延床面積:1,430.88㎡(432.84坪)
- 構造/規模:鉄骨造/地上2階建
- 竣工:2028年3月(予定)
本記事はIMV株式会社およびヒューリック株式会社の発表をもとに作成。
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