VUILD、ロボットアームで街路樹加工のベンチ制作 金沢市内4カ所に設置
VUILD株式会社は、私設現代アート美術館「KAMU kanazawa」が展開する屋外アートプロジェクト「KAMU kanazawa TOWN hack “bench bench bench” with IEMOTO ltd.」に初年度(2026年)の建築家として参画した。寿命を迎えて伐採され廃棄されるはずだった街路樹のソメイヨシノを素材に、3Dスキャン解析とチェンソーを取り付けた産業用ロボットアームを用いて制作した形の異なるベンチが、2026年8月28日より金沢市内4カ所に設置されている。本作は同社が新たに導入した産業用ロボットアームによる初の製作実績となり、同社は2026年10月より建築案件への本格投入を開始するとしている。

廃棄予定のソメイヨシノを活かす10年プロジェクト
「TOWN hack」は、setchu株式会社が運営するKAMU kanazawaが金沢の街全体を展示空間と捉え、市民や旅行者が街なかで日常的に現代アートに出会える環境をつくる屋外アートプロジェクトである。2026年に始動した「”bench bench bench” with IEMOTO ltd.」は、2027年開催予定の「金沢まちなか芸術祭」に向けた取り組みのひとつで、毎年ひとりの建築家がベンチを設計・設置し、10年かけて金沢の街に10種類のベンチを集める計画となっている。



その第一弾を手がける建築家として、VUILD株式会社の代表取締役CEOを務める秋𠮷 浩気氏(本文中では秋吉浩気とも記載)が選出された。戦後に植えられ寿命を迎えつつあるソメイヨシノの街路樹は、幹のうねりや太さなどから一般的な製材ラインでの加工が難しく、チップ化など用途が限られるほか廃棄されるケースも少なくない。同プロジェクトではこうした課題への提案として、規格化が難しい自然木をデジタル技術で加工し、唯一無二のプロダクトへ昇華させる試みを行っている。


3Dスキャンとロボットアームによる造形




一本ごとに曲がりも太さも異なる桜の材を扱うため、VUILD株式会社はそれぞれの材が持つ複雑な自然形状を3Dスキャンで取り込んでデータ上で解析した。そのデータをもとに最適な形状を設計し、チェーンソーを取り付けたロボットアームで造形を行っている。
従来の自社加工機では収まらなかった大断面・長尺の建材や不定形材、大きく湾曲した材や二股の材の加工に対応可能となり、今回のベンチはその第一弾の実証プロジェクトと位置づけられている。また、柱や梁といった構造部材の加工内製化により設計の自由度を高めるほか、ロボットアームによる加工工程の自動化、工期の短縮や現場調整の低減、材料の歩留まり向上による廃材削減などを目指すとしている。さらに、従来のプレカット・建方・造作といった分業工程を統合する新たな工法の開発にも取り組む方針だ。
金沢でのベンチ制作を第一歩とし、VUILD株式会社は今後各種プロジェクトで試用を重ね、建築案件への本格的な実践投入を進める。建築部材のスケールで加工の自動化を実現する新しい製造システムの構築を目指すとともに、同社のノウハウ10年分の蓄積データをもとに加工を判断・実行するフィジカルAI領域へ参入し、製造のオートメーションに着手していく構想を掲げている。
プロジェクトの概要は以下の通りである。
- プロジェクト名:KAMU kanazawa TOWN hack “bench bench bench” with IEMOTO ltd.
- 主催:KAMU kanazawa(運営:setchu株式会社)
- プロジェクトパートナー:株式会社家元
- 設置協力:金沢まちなか芸術祭実行委員会/金沢市
- 2026年度 建築家:秋𠮷 浩気
- 設計:VUILD(担当/秋𠮷 浩気+金子俊耶)
- 製造:VUILD(3Dスキャン、産業用ロボットアームによる加工/担当 水野祐紀+金子俊耶+前田大輔)
- 素材:桜(ソメイヨシノ)の未利用材
- 設置開始:2026年8月28日(金)
- 設置場所:金沢市老舗記念館/鞍月用水グリーンパーク/長町緑地/株式会社家元社屋前(計4カ所)
VUILD株式会社の会社概要は以下の通りである。
- 社名:VUILD株式会社(ヴィルド)
- 代表者:秋𠮷 浩気(代表取締役CEO)
- 創業:2017年11月21日
- 資本金:1億円
- 本社:神奈川県厚木市下依知1丁目7−24
- 事業内容:建築設計、建築施工、木製品開発・製造及び加工、CNCルーターの販売、デジタル人材育成、事業開発支援、ITサービス開発
- Corporate URL:https://vuild.co.jp/
本記事はVUILD株式会社の発表をもとに作成。
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