日立とケーエスケー、医薬品配送DXで営業の代行工数を60%削減 11月から順次稼働へ
株式会社日立製作所と医薬品卸の株式会社ケーエスケーは、医薬品配送業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けたPoC(概念実証)を2026年9月末に完了しました。急な欠員などに応じて配送ルートを自動編成する「ポイントダイナミック機能」を検証し、営業担当者が行っていた代行配送工数を60%削減(※1)しました。この成果を受け、2026年11月よりケーエスケーの各支店で順次稼働を開始します。
動的な配送ルート再編で欠員時の代行工数を削減
実証では、HMAX Industryのラインアップの1つである日立の物流ソリューション「Hitachi Digital Solution for Logistics(以下、HDSL)」を活用しました。
従来、ケーエスケーでは配送担当者に欠員が発生した際、医薬品供給を継続するために営業担当者が配送を代行していました。今回の実証では、手作業での振り分けを行わず、配送先の位置関係、納品時間、車両入場可否などの条件を考慮して稼働可能な別ルートへ再配分する運用モデルを構築しました。これにより、平常時の固定ルート維持と、欠員検知時の動的なルート再編を切り替える体制を整えました。
医薬品物流における配送調整と業務負荷の課題
物流業界では、ドライバー不足や高齢化、働き方改革への対応、荷量の小口多頻度化による輸送力不足への対応が課題となっています。
特に医薬品物流では、短リードタイムでの配送や急配、時間指定、受領管理といった高い配送品質が求められます。配送計画の作成後も、追加注文や荷量変動、欠員、利用可能車両の減少が発生しますが、病院や薬局ごとの納品ルールなどを短時間で考慮する必要があるため、現場責任者や熟練担当者の経験と勘に頼った調整が残っていました。また、欠員時の代行配送によって営業担当者の顧客対応や営業活動の時間が制約される点も課題とされていました。
今回の取り組みには、主に2つの特長があります。
- ポイントダイナミックによる動的配送最適化
平常時は固定ルートを維持し、システムが欠員を検知すると最適化エンジンを起動します。配送先の位置関係、納品時間、車両の入場可否、荷量、各ルートの負荷や余力などの条件を照合し、別ルートでの代行配送が可能かを判断して稼働ルートへ自動再配分します。
- NFC(※2)カードによる電子受領
病院や薬局での納品時に、スマートフォンで得意先のNFCカードを読み取ることで受領先情報と突合し、日時や証跡データを自動取得します。これにより「なりすまし」や「誤受領」を防止し、紙伝票の回収・保管や照合作業に伴う管理工数を削減してペーパーレス化を図ります。
今後の展開
両社は2026年11月からケーエスケーの各支店で順次稼働を開始し、ポイントダイナミックとNFCカードによる電子受領の現場定着を進めます。
今後は、配送領域の受注・リソース情報と倉庫内の作業・設備情報の連携を進める方針です。さらにフィジカルAIの活用も視野に入れ、物流センターから得意先までの情報と業務をつなぐことで、状況変化に対応する自律型サプライチェーンへの進化と持続可能な医療物流インフラの実現を目指すとしています。
関連情報
- 株式会社日立製作所
- 2025年度(2026年3月期)売上収益: 10兆5,867億円
- 連結子会社数: 606社(2026年3月末時点)
- 従業員数: 約29万人(全世界、2026年3月末時点)
- URL: www.hitachi.com/ja-jp/
- 株式会社ケーエスケー
- バイタルケーエスケーホールディングス(東証プライム上場)の主要事業会社
- 拠点: 近畿2府4県に32の営業拠点、3つの物流センター
- URL: https://www.web-ksk.co.jp
※1 対象支店における配送担当者の稼働状況などをもとに、営業担当者による代行配送工数の削減効果を算出。 ※2 近距離で無線通信を行う技術(Near Field Communication)。
本記事は株式会社日立製作所および株式会社ケーエスケーの発表をもとに作成しました。なお、市場規模の予測数値はFortune Business Insightsのレポートに基づきます。
ビジネスパーソンの課題解決と納得感にこだわるDellows News編集部。キャリア論からAI、健康法まで幅広い分野に対応し、複雑なテーマでも平易な言葉で丁寧に解説。読者が「明日から使える」知識やヒントを得られるよう、具体的な事例・データ・専門家の見解を交えて執筆。情報を整理し、納得感ある記事づくりを心がけています。



