ホンダ・日産統合で変わるサプライチェーン
ホンダと日産の経営統合に向けた協議開始の報道を受け、帝国データバンクが両社のサプライチェーンを調査・分析した。国内自動車メーカー10社のサプライチェーン企業は6万8485社に上り、そのうち76.5%が売上高10億円未満の中小企業であることが判明した。
サプライチェーンを構成する企業は、部品や素材、金型などの製造業だけでなく、人材派遣、システム開発、工事、運送など多岐にわたり、複雑な取引関係が存在している。ホンダと日産両社のサプライチェーンに重複して登場する企業は9242社あり、その約7割が売上高10億円未満であった。業種別では「自動車部分品・付属品製造業」が550社と最も多く、「金型・同部分品・付属品製造業」、「一般貨物自動車運送業」、「工業用プラスチック製品製造業」、「金属プレス製品製造業」と続いた。
経営統合が実現した場合、サプライヤーには規格統一、EV市場への対応、価格交渉を含めた契約見直しなどが求められる。単独での競争力維持が難しい企業は、M&Aによる統合で生き残りを図る可能性がある。一方、自動運転やEVなどの新技術分野での連携や需要拡大、両社のグローバル展開による海外市場でのビジネスチャンスも期待される。
サプライヤーの7割を占める売上高10億円未満の企業にとって、物価高、価格転嫁、人手不足などの環境変化が経営に与える影響は大きい。メーカーは下請法を遵守し、公正な取引条件を整えることが求められる。サプライヤーは技術力強化やメーカーへの展開を進め、必要不可欠な存在となることが成否の分かれ目になるだろう。