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需給調整市場の価格低下とボラティリティに対応、ENESがAIによる収益最大化運用を強化

Sassor、蓄電池向けENESで需給調整市場とJEPXのAI最適化運用を強化

CATEGORY: テクノロジー

株式会社Sassorは、アグリゲーションプラットフォーム「ENES」において、市場価格予測にもとづくAIによる収益最大化運用を強化すると発表しました。需給調整市場の複数商品とJEPX(日本卸電力取引所)での充放電計画を同時に最適化する仕組みです。系統用(特別高圧・高圧・低圧)から需要家併設まで、蓄電池の規模や用途を問わず、市場環境の変化に合わせた運用で事業の経済性向上と投資回収を支援するとしています。

価格低下が進む需給調整市場と開発の背景

再生可能エネルギーの導入拡大に伴い、蓄電池は卸電力市場(JEPX)、需給調整市場、容量市場で調整力を提供するリソースとして導入が進んでいます。一方で、需給調整市場では参加リソースの増加に伴い、約定価格の水準と分布が変化しています。

同社が需給調整市場の速報データを集計したところ、一次調整力オフライン枠の9エリア平均の約定価格は、2026年4月の8.16円/ΔkW・30分から、9月には3.82円/ΔkW・30分へ低下しました。9月からは上限価格が15円から10円へ引き下げられましたが、上限価格に対する約定価格の水準も4月の約54%から9月には約38%へ下がり、最高落札価格が上限価格に達したコマの割合も4月の43.3%から9月には10.5%まで減少しています。

また、2026年9月の速報値では、中部エリアで一次調整力オフライン枠の価格が最も高かった一方、九州エリアでは二次調整力②や三次調整力①の価格が一次調整力オフライン枠を上回るなど、価格の高い商品区分はエリアによって異なります。同社は、固定の入札価格や単一商品への参加を前提とした運用では価格低下の影響を受けやすくなることから、市場価格を予測して商品や価格、充放電計画、コストを組み合わせて最適化するAI制御が重要になるとしています。

ENESでは、開発してきた価格予測モデルや入札最適化アルゴリズム、収支シミュレーションの知見を統合し、以下の機能を展開しています。

  • 市場価格予測に基づく入札価格の最適化:価格予測をもとに入札価格を最適化します。同社が2026年7月に発表した入札最適化アルゴリズムでは、中部エリアの一次調整力オフライン枠を対象としたバックテストで、固定価格方式などを約25%上回る仮想純収益を確認したとしています(参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000043.000028289.html)。
  • 複数商品・複数市場の組み合わせ:一次調整力、二次調整力①②、三次調整力①②、JEPX、容量市場を対象に、エリアやコマごとの価格水準を比較して供出先の商品と量を配分します。前提となる簡易指令システムとの接続は全エリアで完了しています。
  • JEPX計画と調整力供出量の同時最適化:JEPXでの充放電計画(発電販売計画)と需給調整市場への供出量を30分コマごとに同時に最適化します。発電販売計画(基準値)を充電側に設定して供出可能量を増やすネガポジ運用にも対応しています。
  • 系統用から需要家併設まで、規模を問わない運用:特別高圧・高圧・低圧の系統用蓄電池に加え、ピークカットやBCP(事業継続計画)などの施設制約を持つ需要家併設蓄電池にも対応します。需要家併設では施設内蓄電池による三次調整力②へすでに対応しており、今後は一次調整力オフライン枠への参加も予定しています。低圧系統用蓄電所には複数拠点を束ねたアグリゲーション運用を提供します。
  • 投資回収まで見通す収支シミュレーション:ENESシミュレーターにより、市場収益に加えCAPEX(設備投資)、OPEX(運用費用)、投資回収期間、IRR(内部収益率)、NPV(正味現在価値)を試算します。

低圧系統用蓄電池を想定した運用ロジック別の試算結果

同社は、低圧系統用蓄電池を想定し、運用ロジックの違いによる年間収益と投資回収期間の試算を公表しました。

出力49.9kW、容量220kWhの低圧系統用蓄電池を設備想定とし、2026年8月~9月の市場価格を年換算して試算したところ、九州エリアでは一次調整力オフライン枠を中心とした従来型の運用と比べ、市場価格予測・複数商品の組み合わせにJEPX充放電とネガポジ運用を加えた運用の年間収益が約48%増加し、投資回収期間が4年短縮されたとしています。

同様に中部エリアで試算した場合も年間収益は約34%増加しました。効果の内訳について、九州エリアでは複数商品の組み合わせによる上積みが大きく、中部エリアでは三次調整力②の高値コマとネガポジ運用による上積みが中心になるなど、エリアごとに異なると説明しています。なお、本試算は過去データを用いたシミュレーションであり、約定率や劣化費、託送料金などの前提条件を置いて算出したもので、実際の市場収益や将来の収益を保証するものではないとしています。

各種設備への対応状況と今後の展開

ENESにおける各対象への提供状況は以下の通りです。市場参加の可否や最適な運用方法は設備の仕様、エリア、計測・通信方式、参加する商品区分の要件によって異なるため、対象設備ごとに対応済みの範囲と検証中の範囲を切り分けて運用を設計します。

  • 簡易指令システム接続(需給調整市場の指令受信、複数の商品区分への参加):全エリアで接続完了
  • 系統用蓄電池(特別高圧・高圧)(JEPX、需給調整市場、容量市場のマルチマーケット運用):提供中
  • 低圧系統用蓄電所(複数拠点を束ねたアグリゲーション運用):提供中
  • 需要家併設蓄電池(ピークカット・BCPと需給調整市場の複合制御):提供中
  • 入札最適化・複数市場の同時最適化・ネガポジ運用(価格予測に基づく入札価格、商品配分、計画値の最適化):提供中

同社は今後、入札最適化アルゴリズムの対象を各エリアや各商品区分へ広げるとともに、インバランス料金の予測など蓄電池の翌日計画に必要な予測機能を拡充していく方針です。

株式会社Sassorの概要

  • 会社名:株式会社Sassor (サッソー)
  • 代表取締役:石橋 秀一(いしばし しゅういち)
  • 設立:2010年9月30日
  • 所在地:東京都渋谷区桜丘町 4-17
  • URL:https://www.sassor.com
  • 事業内容:AIを活用した電力アグリゲーションサービスの開発・提供

本記事は株式会社Sassorの発表をもとに作成しました。

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