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メナードとJAMSTEC、有機溶媒不使用のリポソーム製造技術を開発

日本メナード化粧品株式会社は、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)との共同研究により、有機溶媒を一切使わずに均一なナノサイズのリポソームを連続製造する「亜臨界水プロセス」を開発しました。深海熱水噴出孔の環境に着想を得た学術的知見を応用し、1回の処理工程で高品質なリポソームを効率的に生成する技術です。優れた浸透性と安全性を両立する次世代の化粧品開発などを後押しする成果として期待されています。

深海研究の知見をヒントに従来課題を克服

リポソームは、ヒトの細胞膜の構成成分である「リン脂質」でできた約100~200nmの超微粒子カプセルです。有効成分を狙った部位へ届けるドラッグデリバリーシステム(DDS)として医療分野で研究・利用されているほか、化粧品や健康食品の分野でも応用が進んでいます。

従来のリポソーム製造では、リン脂質を多量の有機溶媒に溶解する必要があり、環境負荷や肌への残留刺激が課題とされていました。さらに、微細なサイズで均一に揃えるには強力な超音波や高圧微細化処理などの工程が不可欠で、製造プロセスが煩雑になるため安定した大量生産が極めて困難でした。

愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15に本社を置く日本メナード化粧品(代表取締役社長:野々川 純一)は、神奈川県横須賀市夏島町2番地15に拠点を置くJAMSTECが培ってきた「深海インスパイアード化学」の基礎研究成果に着目しました。深海熱水噴出孔に存在する高温・高圧の水である「亜臨界水」が、本来混ざり合わない油分を溶解する特殊な性質を示す原理をリポソーム製造に応用しました。

高温高圧下で短時間処理を行う亜臨界連続装置

この原理をリン脂質に応用する際、300℃付近の高温かつ100気圧を超える高圧下でリン脂質の熱分解をいかに抑えるかが課題となっていました。そこで極短時間の高温・高圧処理が可能な流通式装置に着目し、リン脂質の水分散液を100~150気圧の高圧状態を維持しながら300℃付近の温度で数秒間だけ処理できる「亜臨界連続装置」を独自開発しました。

反応温度と反応時間を精密に制御できる同装置を用いた亜臨界水プロセスにより、リン脂質の熱分解を最小限に抑えつつ、有機溶媒を使わずに1回の処理工程でリポソームを連続製造できる体制を確立しました。

均一な粒子径と単層膜構造の実現

今回開発された亜臨界水プロセスでは、リポソームの粒子径を約130nm前後という微細なサイズで均一に揃えることに成功しています。

さらに、クライオ透過電子顕微鏡(Cryo-TEM)による観察では、従来製法で生じやすい多層膜構造(マルチラメラ構造)とは異なり、理想的な単層膜構造(ユニラメラ構造)が形成されていることが確認されました。ユニラメラリポソームはカプセル内部に豊かな親水空間を持つため、水溶性の有効成分を効率よく保持できる特徴があります。肌馴染みにも優れており、塗布した瞬間に内包した有効成分を角層へと素早く届ける効果が期待されています。

今後の展望と研究発表

日本メナード化粧品は今後、化粧品素材製造プロセスとしての実用化に向け、製造条件の最適化やリポソームの素材特性の評価、形成機構の解明などを進める方針です。肌への浸透性と安全性を兼ね備えたスキンケア製品への応用をはじめ、幅広い分野への展開を目指すとしています。

なお、本研究の成果は2026年9月28日から10月1日にかけてオーストラリアのパースで開催された第36回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)学術大会にて発表されました。また、研究の一部は愛知県「新あいち創造研究開発補助金」の2024年度採択事業として実施されました。

本記事は日本メナード化粧品株式会社の発表をもとに作成しています。

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