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MSFがガザ情勢めぐり各国に行動訴え イスラエルの破壊と殺害停止を要求

パレスチナ・ガザ地区における紛争激化から3年、停戦合意から1年が経過する中、国境なき医師団(MSF)は現地で人道危機が深刻化していると発表した。イスラエル軍による攻撃や物資搬入の制限によって生存手段が奪われているとして、各国政府に対し破壊と殺害を直ちに止めさせるよう訴えている。

境界線イエローラインによる分断と包囲の強化

ガザ地区では、パレスチナの人びとが殺害や負傷、強制移動の被害に遭い、医療システムの崩壊や重要インフラの破壊が進んでいる。この状況を悪化させている要因の一つとして、イスラエルが設定したイエローラインの存在がある。

イエローラインは2025年10月の停戦合意時にイスラエル軍の第一段階の撤退位置として設定された境界線だが、現在は軍事拠点や土塁、建物の取り壊しによって強化されている。イスラエルが支配するライン東側の範囲は西へ拡大しており、現在ではガザの約65%をイスラエルが支配している。

境界線が明確でないため住民が銃撃される危険があり、MSFはライン周辺で銃撃を受けた負傷者の治療を継続している。また、銃撃により給水車による水の運搬中止を余儀なくされるなど、不可欠な援助の提供も妨げられている。MSFの緊急対応責任者であるアマンド・バゼロールは、イエローラインが包囲と民族浄化の手段となり、人びとをインフラや医療、水から切り離していると指摘している。

水不足や衛生環境の悪化で広がる病気と医療崩壊

ガザ全域で暴力被害が続いており、MSFは今年6月と7月だけで爆発による負傷、熱傷、銃創、身体的暴行などによる外傷の治療を1200件以上実施した。この3年間でMSFが治療した意図的な暴力などによる外傷は20万件を超えている。この間、イスラエルの軍事攻撃により7万4000人を超える人びとが殺害され、この中には2万人以上の子どもが含まれている。

狭い区域への過密な居住や、清潔な水、衛生設備、医療の不足により病気が広がっている。MSFは今年だけで疥癬(かいせん)などの皮膚疾患を1万1000件以上治療し、6月と7月には水痘を1500症例以上確認した。8月には1日あたり約210万リットルの飲料水を供給したものの、需要を満たすには至っていない。

ガザの医療活動マネジャーを務める医師のムラド・アサリヤによると、多くの人にとって1日に使える生活用水は6リットル未満で、衛生用品の入手も困難となっている。MSFは胃腸炎や急性呼吸器感染症、皮膚疾患などの治療にあたっているが、疥癬の治療クリームを含め、イスラエル当局による医療物資の搬入制限に直面しているという。国連の発表によると全建造物の8割以上の建物が損壊しており、部品制限による発電機や救急車の機能不全など医療環境の悪化が長期的な影響を及ぼしている。

暴力や強制移動の動きはガザ地区にとどまらず、ヨルダン川西岸地区と東エルサレム全域でも2023年以降、入植者による攻撃や軍事作戦、農地への襲撃、家屋の取り壊しなどが急増している。

MSFのバゼロール緊急対応責任者は、被害からの回復には何世代もかかる一方でイスラエルによる行為が常態化していると強調した。その上で、各国政府は今こそ行動し、イスラエルによる破壊と殺害を止めさせ、パレスチナの人びとから生存手段を奪う行為を終わらせなければならないと訴えている。

MSFのガザにおける活動

  • ガザ北部、南部、中部の13カ所の医療施設を運営・支援
  • 外科手術、出産介助、予防接種、栄養失調の治療、心のケアなどを実施
  • 避難生活を送る人びとへの清潔な水の提供

本記事は国境なき医師団(MSF)の発表(一部データは国連発表)をもとに作成しました。

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