NEDOや産総研ら、有用微生物を100万規模で探索する新システムを世界初開発
国立大学法人長岡技術科学大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人広島大学、株式会社オンチップ・バイオテクノロジーズ、株式会社ニコンソリューションズの共同研究グループは、未培養・難培養微生物を高効率に可培養化し、有用な機能を持つ微生物が含まれるドロップレットを100万ドロップレット規模で探索・取得できる「ミリオンスクリーニング技術」を開発しました。あわせて、一次選別から画像による二次選別、回収までを一連の工程として行う「ドロップレット表現型スクリーニングシステム(Droplet Phenotypic Screening System)」を世界で初めて開発しました。本成果は、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)の「カーボンリサイクル実現を加速するバイオ由来製品生産技術の開発」事業の一環によるものです。
未培養微生物の可培養化と高速スクリーニングを実現

バイオマス資源から生物を用いて物質を生産するバイオものづくりでは、産業上有用な生物資源の探索が高コストかつ高難易度であることが課題となっていました。環境中の微生物の多くは通常の条件では培養が困難ですが、産総研と広島大学は微生物を油中の微小なゲルまたは水滴(ドロップレット)に内包して培養することで、環境中の微生物の最大50%程度を可培養化できることを明らかにしました。さらに、目的の機能を持つ微生物を獲得するためのmMD技術やGMD in WODL技術などのスクリーニング技術を確立しています。

また、生きた微生物が示す酵素活性や増殖、生産能力を直接測定して選別する表現型スクリーニング技術も開発されました。処理能力は従来のマイクロプレート法の1000倍に達します。長岡技科大は本技術により、土壌微生物から約100万個のドロップレットを6時間で解析・分取し、高い活性を示す細菌を取得したほか、そのうちの1株 Lysobacter soli から市販の工業用酵素の2.4倍の活性を持つ新規酵素を単離することに成功しました。

AI画像判定と自動回収を統合した世界初のシステム

共同研究グループは、高速な一次選別と画像による二次選別を組み合わせた「ドロップレット表現型スクリーニングシステム」を構築しました。微小なドロップレット内で培養した微生物を蛍光と高精細画像の二段階で選別し、分注・回収までを100万ドロップレット規模の速度で実行できる装置としては世界初となります(オンチップ・バイオテクノロジーズ調べ、2026年8月時点)。
システム開発において、ニコンソリューションズは画像解析と機械学習を用いたAI判定を行うイメージングユニットを開発し、形態や増殖状態などを指標とした選別を可能にしました。オンチップ・バイオテクノロジーズは、送液からAI判定に基づくプレートへの分注、保管までを自動で行うシステム全体を担当しています。産総研は蛍光を使用しない一次選別の高感度化を達成し、長岡技科大は実際の環境試料を用いた検証に着手しています。
2027年度末の製品化と社会実装に向けた計画
2027年度からは長岡技科大を中心とした拠点でテスト運用を開始し、2027年度末にはオンチップ・バイオテクノロジーズが一連の工程を統合したシステムの製品化を予定しています。また、画像選別機能に特化した簡易型システムについても、オンチップ・バイオテクノロジーズおよびニコンソリューションズの両社が製品化を計画しています。
社会実装の一環として、2026年3月には長岡技科大発のスタートアップであるECHIGO MICROBES 株式会社(新潟県長岡市、代表取締役:中村彰宏)が設立され、本技術を活用した有用微生物の探索・育種受託サービスの事業化が進められています。なお、本技術の成果の一部は、2026年10月7日(水)から9日(金)までパシフィコ横浜で開催される「BioJapan 2026」に出展され、10月8日15時からのNEDOのスポンサーセミナーでも紹介される予定です。
本記事はNEDO、長岡技術科学大学、産業技術総合研究所、広島大学、オンチップ・バイオテクノロジーズ、ニコンソリューションズの発表をもとに作成しました。
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