モビーディックが次世代宇宙服コンソーシアムに参画 国産月面宇宙服の開発へ
ウェットスーツやドライスーツの開発を手がける株式会社モビーディック(宮城県石巻市、代表取締役:保田 守)は、Amateras Space株式会社が主導する産学連携組織「次世代宇宙服コンソーシアム」に参画し、国産宇宙服の研究開発に本格的に取り組むと発表した。

同コンソーシアムは2026年9月30日に正式発足し、岐阜医療科学大学の田中邦彦教授を研究開発の中心に据え、2035年までの国産月面船外活動用宇宙服(EVA)の実現を目指す。
水中スーツの技術を極限環境の宇宙服へ応用
株式会社モビーディックは、60年にわたりウェットスーツやドライスーツなど、水中・水上の特殊環境で人体を保護するスーツの開発・製造を行ってきた。同社は、人体の骨格や筋肉、関節の動きを考慮し、身体にフィットしながら自然に動ける設計思想を追求してきた実績を持つ。
ドライスーツ開発で蓄積した人体構造に沿った裁断・縫製、気密構造、着脱性、関節可動性に関するノウハウを基盤とし、水中から宇宙という新たな極限環境への技術発展を図る。
宇宙服開発における大きな課題の一つが、生命維持に必要な内部圧力の維持と、関節などの可動性の両立である。内部圧力を高めると服が膨張して関節が曲げにくくなり、圧力を下げると減圧症のリスクが高まる。田中邦彦教授が生理学・宇宙医学の視点から進めてきた「Knight Suit」などの研究に、株式会社モビーディックが立体設計や伸縮素材の配置、気密構造といった衣服側からのアプローチを加える。
最初の開発テーマとして、特に高度な可動性が求められる「宇宙服グローブ」の試作・評価を進める。指や手の形状、関節位置、素材配置、伸縮方向などを精密に設計し、圧力がかかった状態でも指を動かして工具を操作できるグローブの実現を目指すとしている。
産学連携の体制と2035年に向けたロードマップ
コンソーシアムでは各分野の専門技術を統合して開発を進める体制をとっている。
- 岐阜医療科学大学 田中邦彦教授:宇宙医学・生理学・宇宙服研究
- 株式会社モビーディック:人体にフィットするスーツ設計、パターン、気密・防水構造、可動性設計
- 株式会社クロスエフェクト:高精細光造形、真空注型、3D設計・高速試作
- Amateras Space株式会社:開発構想、システム統合、事業開発、産学連携
人体を3Dデータ化して形状に合わせた試作を行うなど、衣服設計と3D造形技術を融合させた開発手法も導入する。開発のロードマップとしては、2026年度の発足と要素技術検討開始を経て、2027年前半にグローブ・関節部の部分試作と与圧試験、2027年後半に全身試作モデルの開発・評価を予定している。その後、2030年に国産船内活動用宇宙服(IVA)、2035年に国産月面船外活動用宇宙服(EVA)の実現を目標に掲げる。
地上への技術還元と過酷環境向けウェアへの展開
同プロジェクトで培われる人体保護、可動性、気密・防水、生体センシング、動作支援などの技術は、宇宙分野にとどまらず地上への還元も見据えている。活動目的にはヘルスケア、防災、潜水、消防装備への展開が含まれており、将来的には消防・レスキュー、海上作業、医療・介護、重量物作業といった過酷環境で活動するための次世代ウェアへの応用も視野に入れている。
株式会社モビーディックの代表取締役である保田 守は、これまで培ってきた設計技術や可動性、気密・防水技術を究極の環境へ発展させ、日本発の次世代宇宙服の実現に挑戦していく考えを示している。
本記事は株式会社モビーディックの発表をもとに作成しました。
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