粉末型癒着防止材SI-449で術後癒着が約半減 国立がん研究センター発表
国立研究開発法人国立がん研究センター中央病院などの研究グループは、全国53施設による多施設共同ランダム化比較試験を実施し、粉末型癒着防止材SI-449が直腸がん開腹手術後の癒着を有意に抑制することを確認した。無処置グループでの癒着発生率が93%であったのに対し、SI-449で処置を行ったグループでは45%と約半分に低下した。本研究成果は外科学分野の国際医学誌JAMA Surgeryに米国時間2026年8月26日付でオンライン掲載された。
術後癒着の課題と粉末型癒着防止材の特徴
術後癒着は、腹部や骨盤内の手術後に発生する代表的な合併症の一つで、腸閉塞や慢性的な痛みの原因となるほか、再手術時に癒着した組織をはがす必要が生じて手術の難易度を高める要因となる。
従来は閉腹前にシート型やスプレー型の癒着防止材が用いられてきたが、凹凸のある組織表面や複雑な形状の部位には薬剤を行き渡らせにくい点が課題となっていた。粉末型癒着防止材であるSI-449は、凹凸のある組織表面や狭い部位にも散布しやすい特徴を有している。
多施設共同試験で発生率が45%に抑制
今回の多施設共同ランダム化比較試験では、直腸がんの開腹手術の閉腹前に切開直下の組織表面へSI-449を散布するグループと、処置を行わないグループに分け、術後癒着の発生率や重症度、広がりを検証した。
その結果、癒着発生率は無処置グループの93%に対し、SI-449で処置を行ったグループでは45%となり、発生率が有意に低下した。さらに、癒着の重症度および広がりも有意に抑制されたことが確認された。安全性については、本試験で確認された範囲においてSI-449と因果関係がある有害事象は認められなかった。
多様な手術への応用と身体的負担の軽減に期待
今回の試験結果により、直腸がんの開腹手術において閉腹直前にSI-449で処置を行うことで、術後癒着を抑制できる可能性が示された。
今後は得られた知見を基盤として、ロボット支援手術を含む腹腔鏡手術をはじめとするさまざまな手術への応用や、患者の身体的負担の軽減につながることが期待されている。なお、国立研究開発法人国立がん研究センターは東京都中央区に位置し、理事長を間野 博行、中央病院の病院長を瀬戸 泰之が務めている。
本記事は国立研究開発法人国立がん研究センターの発表をもとに作成。
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