コロナ融資返済進む、3割が「5割以上」返済
新型コロナウイルス感染拡大の影響で業績が悪化した中小企業を支援するため、2020年に始まった政府系金融機関と民間金融機関によるコロナ関連融資制度だが、株式会社帝国データバンクが実施した意識調査によると、融資の返済状況や今後の見通しについて明らかになった。
調査期間は2024年8月19日から31日までで、全国の2万7,247社を対象に行われ、1万1,414社から有効回答を得た。その結果、コロナ関連融資を「現在借りている」企業の34.3%が融資の「5割以上」を返済しており、前回の2024年2月調査から4.8ポイント増加した。一方で、「未返済や今後返済開始」の企業は6.6%で、3.9ポイント減少しており、返済は着実に進んでいることがわかった。
しかし、借入企業の12.6%が今後の返済に「不安」を抱えていることも明らかになった。特に「家電・情報機器小売」業界では41.2%と急増し、「繊維・繊維製品・服飾品小売」も33.9%と高い水準にある。返済における懸念材料としては、「人件費の高騰」が42.6%でトップとなり、「原材料価格の高騰」や「人手不足」なども上位に挙がった。
コロナ関連融資により倒産件数は減少したものの、今後は3年間の無利子期間が終了し、本格的な返済が始まる。加えて、日本銀行による政策金利の引き上げが続けば、新規借り入れの金利負担増加により、返済に影響が出る可能性もある。企業がより利益を生み出せるよう、DX化などを通じた変革が求められている。