九州歯科大学など、酵素METTL1が毛包形成と毛周期を制御する仕組みを解明
公立大学法人 九州歯科大学生化学分野の古株彰一郎教授や松原琢磨准教授らは、中国・四川大学華西口腔医院のQuan Yuan教授らとの国際共同研究に参画し、酵素METTL1が毛包の形成と毛周期を制御していることを明らかにしました。本成果は、RNAの化学修飾によって毛の成長や生え変わりが調節される新たな仕組みを示すもので、2026年9月22日付で国際学術誌『PLOS Genetics』に掲載されました。脱毛症などの病態理解や新たな治療法の開発につながる可能性があるとされています。
METTL1欠損マウスで毛の再生遅延を確認
毛は毛包が成長期、退行期、休止期からなる「毛周期」を繰り返すことで生え変わりを続けていますが、その分子機構には未解明の点が多く残されていました。研究グループは、RNAにm⁷G修飾を加える酵素であるMETTL1に着目し、毛包の形成や毛周期に果たす役割を調査しました。
成長後のマウスの皮膚でMETTL1を欠損させて毛の生え変わりを観察したところ、正常なマウスに比べて毛の再生が大きく遅れ、毛が伸びる成長期への移行が遅れていることが確認されました。この実験結果から、METTL1が毛周期を正常に進める働きを持つことが示されました。
HOXC13のmRNAを安定化し細胞接着を維持
詳細な仕組みを解析した結果、METTL1は毛の形成に関わるHOXC13のmRNAにm⁷G修飾を加えて安定化させていることが判明しました。METTL1が欠損するとHOXC13のmRNAが不安定になり、その下流で働くFOXN1やDSG4の発現も低下します。

これにより毛をつくる細胞同士の接着が弱くなり、正常な毛の形成が妨げられると考えられています。一方で、METTL1の発現を高めると毛包の成長期への移行が早まり、毛の再生が促進されることも確認されました。
脱毛症の新規治療法開発に向けた展望
研究グループは今後、この仕組みがヒトの毛包や脱毛症などにどのように関わっているのかを解明し、RNA修飾と毛の形成・再生の関係について研究を進める方針です。METTL1によるRNA修飾や下流分子を制御することで毛周期を調節できる可能性を検討し、脱毛症などに対する新たな治療法の開発を目指すとしています。
生化学分野の古株彰一郎教授は、歯と毛は胎児期における形成過程が非常に似ており発生学的に深い関連があるとした上で、長年の仲間との国際共同研究を成果として発表できたことへの感謝を述べています。
発表元の概要
- 学校名: 九州歯科大学
- 所在地: 福岡県北九州市小倉北区真鶴2丁目6番1号
- 学長: 粟野 秀慈
- 設立: 1914年
- HP: https://www.kyu-dent.ac.jp/
本記事は公立大学法人 九州歯科大学の発表をもとに作成しました。

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