NEDOとKAISO BANK、全国5漁港周辺で核藻場の造成に成功
NEDOとコンソーシアム「KAISO BANK」は、全国5漁港の周辺海域において核藻場の造成に成功した。気候変動の影響による「磯焼け」が全国的に深刻化する中、海藻の生育や拡大の起点となる核藻場を造成することで、ブルーカーボンの増大を通じたカーボンニュートラルの実現を目指す。基盤ブロックへの移植から約1年で核藻場へと成長し、一気通貫の事業モデルと基礎技術の有効性が示された。
磯焼け深刻化への対応と一体的な技術開発
日本政府が掲げる「2050年カーボンニュートラル」の達成には、排出が避けられないCO2を相殺する手段として大気中のCO2除去(CDR:Carbon Dioxide Removal)の活用が不可欠とされている。沿岸・海洋生態系が光合成によって取り込み長期貯留するブルーカーボンを拡大するためには、主要な生態系である藻場の保全・回復が重要となる。
しかし近年は、海水温上昇や食害生物の活発化による磯焼けが深刻化している。従来の技術では種苗の安定確保や地域ごとの衰退要因への対応、人手を要する潜水調査などが課題となっていた。そこで「グリーンイノベーション基金事業」において、専門企業が連携して「つくる(種苗生産)」「育てる(中間育成)」「増やす(基盤ブロック・移植)」「測る(広域藻場モニタリング)」の各技術を一体的に開発し、全国展開に向けた実証を進めてきた。

全国5漁港での実証と基礎技術の有効性確認
2022年度から開始した本プロジェクトでは、2024年度から2025年度にかけて、環境条件の異なる5漁港周辺の海域に設置した基盤ブロックへ海藻カートリッジ(海藻種苗)を移植した。その結果、移植から約1年でそれぞれが周辺海域への拡大起点となる核藻場へと成長した。





環境条件や衰退要因が異なる海域において、適地選定と各技術の組み合わせによる造成が確認されたことで、自治体や漁業関係者、企業に向けた提案・導入の素地が整ったとしている。
2030年度までに70ha造成と年間399t以上のCO2吸収・貯留を目指す
実証では食害魚の影響で想定より核藻場機能が持続しなかった漁港もあったため、今後は課題の改善を図りつつ技術の高度化と藻場の大規模化を進める。全国の漁業者や自治体への種苗の無償提供や技術支援を通じて現場ニーズを把握し、品質・生産管理基準への反映と技術普及を図る方針だ。
さらに全国5漁港以外の地域にも展開し、2030年度までに70haの藻場を造成することで年間399t以上のCO2吸収・貯留を目指す。あわせてJブルークレジット(R)の創出や地域活性化などの価値を訴求し、地球温暖化対策や生物多様性保全に関心を持つ企業と漁業者をつなぐビジネスモデルの構築を目指すとしている。
本プロジェクトおよび参画団体の概要は以下の通り。

- 事業名:グリーンイノベーション基金事業/食料・農林水産業のCO2等削減・吸収技術の開発/ブルーカーボンを推進するための海藻バンク整備技術の開発/漁港を利活用した海藻バンクによるブルーカーボン生態系拡大プロジェクト
- 事業期間:2022年度~2030年度
- KAISO BANK参画企業:三省水工株式会社、日建工学株式会社、株式会社アルファ水工コンサルタンツ、三洋テクノマリン株式会社(4社)
- 事業概要URL:https://green-innovation.nedo.go.jp/project/agriculture-forestry-fisheries-industries/
本記事はNEDOおよびKAISO BANKの発表をもとに作成。
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