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【実証レポート】ヒューマノイドロボットが農場に立った : 屋外の畑でオクラを検出し把持、開発期間70日

Orbohとトヨタ車体研究所がヒューマノイドロボットによるオクラ把持実証を実施

CATEGORY: テクノロジー

株式会社Orbohは、株式会社トヨタ車体研究所との共同実証として、ヒューマノイドロボット「Unitree G1」を実際のオクラ農場に導入しました。2026年6月から9月にかけて実施された本実証では、屋外の畑でロボットが自らオクラを検出し、手を伸ばして把持するところまでを実現しています。

整備された屋内環境ではなく、実際に出荷している農場でヒューマノイドロボットに作業を行わせる事例は、同社が確認する限りまだ数が少ない取り組みです。

農場環境における実証実験の背景と目的

これまでの収穫自動化は、ハウス内の配置をロボットに合わせて整えるか、ひとつの作物や動作に特化した専用機を開発することで進められてきました。これらは環境か作業のいずれかを機械側に合わせる手法です。

一方、人と同じ形状を持つヒューマノイドロボットは、人のために作られた現場の畝の幅や実の高さ、通路の作りを変えずに導入できる利点があります。農林水産省の「2025年農林業センサス結果の概要(確定値)」(2026年3月31日公表)によると、個人経営体の基幹的農業従事者は103.6万人で平均年齢は67.7歳、65歳以上が69.6%を占めており、現場の環境を変更せずに機械を導入できる手法は導入速度の向上につながります。

今回の実証は、風で作物が揺れ、日射で見え方が変わり、葉が実を隠すといった屋外特有の変動環境下において、ヒューマノイドロボットがどの程度動作するかを検証するために行われました。

実証実験の内容と到達状況

実証ではOrbohのエンジニアが鹿児島県内のオクラ農場に滞在し、実際の畑と屋内の模擬環境の両方でロボットを稼働させました。開発期間は70日で、オクラの検出から接近、把持までのシステムをゼロから構築しています。

収穫の工程は、オクラの「検出 → 接近 → 切断把持 → カゴ収納 → 次のオクラへ移動」で構成され、ロボットは畝に沿って歩きながらオクラを探索し、右手を伸ばしてカッターで茎を挟み、左腕のカゴに入れる動作を目指しました。

実証の結果、屋外の畑においてランダムに生育したオクラをロボットが検出し、把持することが確認されました。屋内の模擬環境における把持成功率は20回中16回を記録しています。一方で、切断用カッターの作り込みは期間内に完了せず、刃で茎を切断して収穫する段階には至りませんでした。屋外試験では代替として割り箸を取り付けたものの、把持力が強く実を切断してしまう結果となり、力の制御が今後の課題として挙げられています。

機体構成とAI技術の活用方針

実証機の「Unitree G1」には、胸部に「ZED-M」ステレオカメラ、右手に「Dex1-1」ハンドとカッター用アタッチメント、左腕に収穫用カゴ、背面に「Jetson Orin 64GB」とバッテリーが搭載されました。

オクラの検出には専用にファインチューニングした「YOLO」、位置の推定には「ZED-M」の3D点群、腕の動作には逆運動学を採用し、最後の微細な位置合わせのみを「Diffusion Policy」が担当しています。

現場ではAIに任せる範囲を限定する設計が採用されました。オクラまで手を伸ばす動作は従来の制御で行い、AIの適用範囲を絞ることで不確実性や開発コストを抑え、安全性の確保と迅速な実装を実現しています。

今後の展開と情報公開

Orbohは、エンジニアが顧客の現場に入り込んで実装を行う「ヒューマノイド版 Forward Deployed Engineer」事業を展開しており、今回の農場実証で確立した開発手法を工場や建設現場などの他分野へ展開する方針です。

また、本実証で収集したデータとシミュレーション環境が公開されています。

  • UMI で収集した軌道データセット(Hugging Face): https://huggingface.co/datasets/Kota0612/umi-okra-grassland-20260724
  • note(技術詳細・開発経緯): https://note.com/lovely_camel67/n/n5650033a2d57
  • X(屋外での把持動画): https://x.com/kotaueda999/status/2100484367424307541

会社概要

  • 会社名: 株式会社Orboh(オルボー)
  • 代表者: 代表取締役 宮嶋壯太
  • 所在地: 〒804-0062 福岡県北九州市戸畑区浅生三丁目7番2-401号
  • 設立: 2026年5月(2026年9月1日に合同会社Orboh-Japanから組織変更)
  • 事業内容: ロボット制御ソフトウェアの研究開発、自律型ロボットの導入実証・運用支援。ヒューマノイド版 Forward Deployed Engineer 事業、ロボットのスキルシェア・情報共有プラットフォーム「Fleetseek」の開発
  • URL: https://www.orboh.com/

本記事は株式会社Orbohの発表および農林水産省の公表データをもとに作成しました。

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