東京大学とNTT東日本、産学協創協定締結へ

2024年4月17日、国立大学法人東京大学と東日本電信電話株式会社(NTT東日本)は、地域循環型社会の実現に向けた次世代デジタルネットワーク基盤の構築と社会起業家の創出を目的とした産学協創協定を締結した。この協定は、地域が自律的に経済活動や日々の生活を営むことができるような自律型・分散型社会の主導に挑むものである。

東京大学は、多様で先端的な研究力や長い歴史のある教育システムを持つ一方、NTT東日本は地域密着のエンジニアリング力や先端的なネットワーク・技術力を持つ。これらを活用し、地域が自律的に経済活動や日々の生活を営むことができるような自律型・分散型社会の主導に挑む。

地球温暖化、森林消滅、大災害の頻発、食料危機、超高齢化社会、エネルギーの枯渇、都市への人口集中、地域格差等、日本社会が直面する様々な課題に対して、NTT東日本は「地域循環型社会の共創」というパーパスを掲げ、地域に密着した現場力とテクノロジーの力で地域課題の解決に取り組んでいる。また、東京大学は、2021年9月30日に公表した基本方針「UTokyo Compass~多様性の海へ:対話が創造する未来~」のもと、先端的な研究と教育システムにより、産学協創による価値創造、地域との連携の推進に取り組んでいる。

この協定では、特に深刻な「都市への一極集中」・「地域格差」がもたらす社会の維持限界に対するアプローチとして、自律的かつ分散型の地域循環型社会という構想を掲げ、フィールド実践型でその解消に取り組む。両者が有する知見や技術を活用し、一極集中の効率性ではない、多極分散の多様性/レジリエンスな社会システムの構築に取り組む。

具体的には、地域が自律するうえで必要な「ソーシャルイノベーション」を実現する社会起業家やまちづくりを担う人材を育成する。また、人口・産業等の社会資本が一極集中ではなく多極分散であることは、多様性やレジリエンス、環境負荷等の観点からとても重要である。そのため、地域が分散しながらも、効率的にイノベーションを起こせる社会を創る上で必要な次世代デジタルネットワーク基盤を、最先端のテクノロジーを活用して実装する。

具体的な取り組みとしては、東京大学が先端研究を進めるバイオ分野におけるDX(リモートバイオDX)やローカル5G等の次世代ワイヤレス技術実証で実践し、地域に分散する多様な人材の育成に向けて取り組む。また、自律型の地域については、東京大学の先端的なまちづくり研究やNTT東日本の地域活性化事業の知見を用いて、次世代ワイヤレス技術等デジタル技術を活用した社会起業家の育成プログラム等をフィールド実践する。なお、2016年から東京大学が共同研究を行っており、かつ2021年にNTT東日本が岩松院本堂天井絵「鳳凰図」の高精細デジタル化に取り組んだ、長野県上高井郡小布施町を、本取り組みの最初のフィールドとして予定している。