キリンと感染研、L.ラクティス プラズマの自然免疫記憶メカニズムの一端を解明
キリンホールディングス株式会社(社長 COO 南方健志)のヘルスサイエンス研究所(所長 村島弘一郎)と国立健康危機管理研究機構 国立感染症研究所(所長 俣野哲朗)は、共同研究において「L.ラクティス プラズマ」が自然免疫記憶を誘導するメカニズムの一端を明らかにしました。非臨床段階の実験において「L.ラクティス プラズマ」を経鼻接種した際に、鼻腔粘膜細胞で抗ウイルス応答に関わる遺伝子群が活性化することを確認しています。本研究成果は、新潟県で開催された第30回日本ワクチン学会・第67回日本臨床ウイルス学会合同学術集会(2026年9月26日(土)~9月27日(日))で発表されました。
鼻腔粘膜細胞における抗ウイルス遺伝子の発現誘導を確認
研究では、L.ラクティス プラズマを経鼻接種した後の鼻腔粘膜細胞における抗ウイルス遺伝子(Isg15、Oasl2、Rsad2)の発現を解析しました。
その結果、L.ラクティス プラズマ接種群では対照群と比較して接種6時間後に遺伝子発現が増強し、その傾向は24時間後も持続していました。このことから、上気道(鼻腔領域)で速やかな抗ウイルス自然免疫応答が誘導されることが示唆されました。
接種7日後も病原体刺激に対する自然免疫記憶が増強

続いて、L.ラクティス プラズマ経鼻接種から3日後または7日後に回収した鼻腔粘膜細胞を、病原体を模したCpGで刺激し、遺伝子発現を解析しました。
対照群ではCpG刺激による抗ウイルス遺伝子(Isg15、Oasl2、Rsad2)の発現が限定的であったのに対し、L.ラクティス プラズマ経鼻接種群では接種3日後および7日後においても高く誘導されることが確認されました。これにより、L.ラクティス プラズマによる免疫活性化は一過性の反応にとどまらず、病原体刺激時の自然免疫反応の感度および迅速性を高める可能性が示されました。
未知の感染症に備えるワクチン開発への応用を視野に
自然免疫反応は呼吸器ウイルス感染症の感染防御や増殖抑制に重要な役割を担いますが、自然免疫反応を誘導するワクチンは現時点で実用化に至っていません。獲得免疫記憶を利用する一般的なワクチンが特定の病原体に対する免疫応答を誘導するのに対し、自然免疫記憶は幅広い病原体に対する免疫反応を可能にすることが期待されています。

キリンは2021年から国立感染症研究所と医薬品開発に関する共同研究を開始しており、自然免疫記憶の誘導による感染症リスク低減の可能性について今後も検証を継続する方針です。今回の成果は、将来出現する可能性のある未知の感染症(Disease X)に備える自然免疫メモリー誘導ワクチンの開発への応用が期待されています。


本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構の先進的研究開発戦略センター(SCARDA)による令和5年度 ワクチン・新規モダリティ研究開発事業、「LC-Plasma 経鼻接種による自然免疫メモリー誘導ワクチン開発」(課題番号:JP243fa827030h0101)の支援を受けて実施されました。
本記事はキリンホールディングス株式会社の発表をもとに作成しました。
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