東洋大学と岡山大学、還元型酸化グラフェン薄膜の高結晶化・高移動度化を実現
東洋大学理工学部電気電子情報工学科の根岸良太教授と岡山大学学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎化学研究所)の仁科勇太教授らの研究グループは、結晶成長技術を用いて還元型酸化グラフェン(rGO)をテンプレートとした薄膜の高結晶化および高移動度化を実現しました。本研究成果は2026年5月30日付で国際学術誌「Scientific Reports(Nature Portfolio)」にて公開され、2026年9月23日に発表されました。
研究の背景と従来の課題
安価かつ大量合成が可能な酸化グラフェン(GO)を還元して得られるrGOは、高いスケーラビリティを持ち、透明導電膜やセンサー、エネルギーデバイスなど幅広い分野での応用が期待されています。
一方で、還元処理を経たrGOの内部には酸素官能基や欠陥構造が残存し、それらが電気伝導特性を低下させることが実用化に向けた課題となっていました。
結晶成長技術による電気伝導特性の改善

今回の研究では、GO薄膜をエタノール雰囲気中で加熱還元することで、rGO表面にグラフェンアイランドを結晶成長させることに成功しました。これにより、薄膜全体の結晶性と電気特性が大幅に改善されています。
研究グループが明らかにした主なポイントは以下の通りです。

- rGO表面にグラフェンアイランドが結晶成長することを解明
- GO表面におけるグラフェンアイランドの結晶成長に、螺旋成長と層状成長の2つの成長モードが存在することを解明
- グラフェンアイランドの結晶成長により、rGO薄膜で365cm2/V·sのHall移動度を実現
- 結晶成長したグラフェンの層は、テンプレートであるrGOの表面より高い結晶性・電気伝導特性を有することを示唆する結果を獲得
この成果により、グラフェンの結晶成長技術を用いた様々な次世代電子デバイスの実現を後押しすることが期待されています。
発表論文および研究支援情報
本研究成果に関する論文の詳細は以下の通りです。
- 論文タイトル:Enhanced Crystallinity and Electrical Properties through Homoepitaxial Growth on Reduced Graphene Oxide Templates
- 著者名:S. Kanda1, T. Yamashita1, S. Kurosu2, F. Sakamoto2, T. Hanajiri1,2, Y. Nishina3 & R. Negishi1, 2
- 所属:1 東洋大学 大学院理工学研究科、2 東洋大学 バイオ・ナノエレクトロニクス研究センター、3 岡山大学 異分野基礎科学研究所
- 掲載誌:Scientific Reports
- 出版社名:Nature Portfolio
- DOI:10.1038/S41598-026-54930-1
なお、本研究の一部は JSPS 科研費(22K04865)、東洋大学井上円了記念研究助成、Bio-Nano Electronics Research Centre の援助を受けて実施されました。
本記事は国立大学法人岡山大学および学校法人東洋大学の発表をもとに作成しました。



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