Stripeが社内AI基盤Kaiの成果を発表 成約39%増など
プログラマブルな金融サービスを提供する Stripe は、社内向けに開発・運用している AI プラットフォーム「Kai」の仕組みと導入成果を発表しました。2026 年 4 月のリリース後、非エンジニア部門を中心に利用が広がり、現在では GTM 部門の 83 %が毎週利用する主要ツールとなっています。導入後は営業活動量が 2 倍、成約件数が 39 %増加したほか、全社で年間 25,000 時間分の業務削減を達成しました。
エンジニア向けツールの普及により開発現場の働き方が変化する一方、セールスやファイナンスなどの非エンジニア部門では、セキュリティ基準を満たしながら社内データを安全に扱えるツールの不足が課題となっていました。
同社では以前、ノーコードの AI エージェントビルダーにより社内で 4,000 以上の AI エージェントが作成されて乱立し、管理負担が増大した経験や、エンジニア向けツールの流用によるセキュリティ面やサポートの懸念が生じた経緯がありました。これらを踏まえ、専門知識の民主化、ユーザーの業務フローへの統合、データ漏洩防止などのガードレールの自動適用の3点を重視し、社内専用のナレッジ AI プラットフォームとして Kai が独自開発されました。
業務定着と安全性を両立する3層構造
Kai は、複雑な安全基準と利便性を両立させるため、以下の3層構造で設計されています。
- どこからでも使える「共通の窓口 (API) 」: 専用の Web アプリや Slack 連携に加え、各種社内ツールや Chrome 拡張機能を通じて画面上から直接利用可能
- AI をノーコードで調整できる「AgentStudio」: プログラミング知識がなくても、各チームの責任者が業務に応じたスキル登録や専用 AI エージェントのテスト・改善を行える管理画面
- 安全かつ超強力な「IT インフラ (実行環境) 」: Kubernetes を基盤に採用し、対話ごとに隔離されたサンドボックスや仮想ファイルシステムを用意
システムは 1,000 以上の仕事用ツールやスキルから必要なものを自動で判断して実行します。長時間の対話でも文脈を保持できるよう設計されており、最長で 932 ターンに及ぶセッションも記録されています。
導入による具体的な成果

リリースから 2 週間で社内に普及した Kai は、日常的なリサーチや資料作成、データ分析のハブとして定着し、現在 Stripe 全体で毎日 5,000 以上のセッションがデータ分析に利用されています。具体的な導入成果は以下の通りです。

- 新入社員の利用頻度が既存社員の 2.7 倍を記録
- コホート内比較において、ヘビーユーザーはライトユーザーに比べて 80 %多くの売上を獲得
- 営業担当者が Kai を活用した週は、使わなかった週と比べ、営業活動量が 2 倍、商談数が 17 %増加、将来の売上見込みが 26 %増加、成約件数が 39 %増加
- 全社で年間 25,000 時間分の社内管理業務を削減
今後の機能拡張と企業概要

Stripe は今後について、大容量データの処理能力向上に向けた記憶力と処理能力の強化、AI が実行ログを自動で振り返り品質を高める自己改善機能、複数メンバーや複数の AI が同じ成果物上で共同作業できる環境の開発などを進める方針です。
同社の概要は以下の通りです。
- 本社所在地: サンフランシスコ、ダブリン
- 決済処理規模: 年間 1.9 兆 ドル (約 300 兆円) 以上(世界の GDP の 1.6% に相当)
- 公式サイト: https://stripe.com/jp
本記事は Stripe の発表(2026 年 7 月 30 日付 原文: Meet Stripe’s Knowledge AI Platform)をもとに作成しました。
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